―――私は 自分のベッドのそばに荷物をまとめ、寝ようとしていた。
でも、どうしても寝れなかったから、ベッドに入って うずくまりながらスマホを見ていた。
他の子は全員寝ている――― と思っていた。
そんな中ただ一人、私を除いて起きていた人がいた。
ここまでなら良かった。
だけど、その人は誰かと小声で電話していた。
でも、とんでもない会話をしている事に気付いてしまった…。
私はスマホをそちらへ向け、バレないようにじっと会話を聞いた。
「え?あぁ、結構成功してるさ。なかなかコイツになりすますのは難しいが、まぁ順調といった所だろう。」
「―――うん。そうだ。我々は明日、根拠のある証拠を出すために…。 なんとか探っている最中だ。」
「___おう、じゃあまた明日。夜電話するから、待っていなさい。 では。」
その後プチッと電話は途切れ、何事も無かったかのように眠った。
私はそれを、全て録音していた―――。
――翌朝
「おっはよー!昨日ぐっすり眠れたー!」
「私も!いつも以上に超眠れた感あるなって思ってたんだよね!」
「僕も。」
「じゃ、朝食食べよっか!今日は… もみちゃんが作ってくれるんだっけ?」
「うん、そう!今日は、シチューにしようかな!」
「おっ、良いね〜!!」
そんな何気ない会話を楽しんでいる私だけど、実は―――、、
「う〜ん!美味しいね!みぃちゃんはどう思う〜?シチュー、好きだっけ?」
私は何気に翠ちゃんに質問してみる。
彼女は、恥ずかしそうに答えた。
「う、うん… 好き、だよ…… おい、しい…」
「そっか!うちも好きなんだー! …。(わざと感が凄いな―――。)」
よくよく観察してみると、わざと演技をしている感じが醸し出されていた。
でもそれ以上は深堀りしなかった。
喉に食べ物が上手く通らず、つっかえたような心地になったのは、たぶん私だけだろう―――。
―――昼
「…昼が、また来ちゃったね…。」
「もう嫌だよね、この時間―――」
「証拠も根拠も無いし、どうすれば良いのか―――」
「ゲーム、終わるのかなぁ…。」
そんな不安を口にするみんな。
私は言いたい気持ちを抑えて、司会に躍り出た蘭ちゃんの指示を聞くことにした。
「えっと… まず、怪しい人がいると思った人は挙手してね。」
もちろんそこで誰も手を挙げなかったけど、ただ一人――― 私が挙手した。
「亜衣奈!話して下さいっ。」
「うん… あの… 昨日、うちが見ちゃった、というか聞いちゃった事があって―――。」
「聞いちゃったって、何を?」
「秘密の会話を、夜に聞いたんだよね…。」
そう言いながら 横目で翠ちゃんを見ると、冷や汗をかいているように見えた。
私は、言葉を続ける。
「んーとね、録音を聞いてもらった方が早いかも。」
そして私は、スマホを取り出して 音声をみんなに聞かせた。
そこには翠ちゃんの姿も写っていて、声も聞こえる。
そこから明らかに、翠ちゃんの発言とは思えない事が耳に飛び込んでくる。
みんなはそれを聞き、目を丸くして驚いていた。
「―――って感じなんだけど。どう?みぃちゃん。」
「……」
翠ちゃんはうつむいたまま。
言葉は発さなかった。
反論も無いという事は、今回はこの投票で決まりだ。
「じゃ、投票に移るね。紙は配ってあるから、名前書いてね―――!」
私はさっと名前を書いて投票箱に入れる。
そして、その紙を蘭ちゃんがまとめて取り出した。
・『一川紅葉』0票
・『二十里蘭』1票
・『四ヶ浦いつき』0票
・『五宮翠』4票
・『六倉亜衣奈』0票
「―――じゃあ、みんなで断言するよ?せーの…っ!」
みんなの息、声がぴったり合った。
その途端、翠ちゃんの体はぐにゃりと曲がり、別の人体へと変化した。
その人は――― 見たことが無い人だった。
「ごきげんよう。私は、五宮翠という者になりすました、偽物だよ。」
「!(偽物… この人がそうだったんだ…。)」
そして、話を続けた。
「いやぁ、なかなかに手強いメンバーだったね。実に面白い――。」
彼は感動の意を表し、意味深い笑みを浮かべた。
そして、最後にこう言った。
「またここに、訪れるかも知れないね。 ではその日まで、さようなら―――!」
その言葉と共に、彼は消えてしまった。
「行っちゃった… ね。」
「ってか、雷くんとみぃちゃんは??」
私がそう言うと、まばゆい閃光を放ち、二人が現れた。
その人は―――
「翠ちゃん!雷くんっっっ!!」
「ん……」
二人共状況を理解しておらず、「何事?」とでも言うかのように立ち尽くしていた。
「とにかく、帰ってきてくれて良かったよぉ…っ!!」
「あ、俺、なんか変なとこ連れ去られたんだった…。」
「それヤバいからね!?もっと危機感持った方が良いよ!?」
「でも、まだ油断は出来ないよね――。 また来るかも知れないしさ…。」
「そうだね。細心の注意は払っておかないと。」
「じゃ、みんなでご飯食べよ!」
「そーしよーっ!」
そうして私達本物の仲間は、また幸せな家庭に戻ったのであった―――。
コメント
6件
分かる〜〜!
確かに名前の漢字綺麗な文字だもんね〜!
なんだかんだ言って、一番yu.nnちゃんの小説?って見やすいっ!