テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
とりぴぃ〜
67
#おんりー
のなな
5,062
89
85
2 天然
私は友達とあんぱんを買った。そのあんぱんはあまり美味しくなかった。でも友達は美味しいと言っていた。真逆だった。私は性格全然違うねって言った。そうすると友達は素直すぎって言ってた。私は天然のカタチがわからない。天然のカタチとはなんなんだろう。ずっとそう思っていた。ある日、誰も私に話してくれなかった。それからずっと皆私の事を無視し、話してはくれなかった。その友達でさえ。私は悲しくなり、家に引き篭もった。ただスマホを見ているだけ。お母さんも話してはくれない。お父さんも。誰も私に話してはくれない。私が元々この世界に居ないみたいに。そしてお母さんとお父さんは引っ越した。娘の私を残して。なんで私だけ。なんで私だけこんななのか知りたい。そして私は自殺に追い込められた。縄を巻き、手で持った。前に進むのが怖かった。でも私は勇気を出して前に進んだ。そうすると縄がほどけ、落ちた。やっと気づいた。もう私は死んでいた。交差点で交通事故に遭い、死んでいたのだ。なぜ気づかなかったのか。なぜ気づけなかったのか。そしてやっとわかった。これが天然のカタチだと。天然は自分にとても正直だ。自分が死にたかったら死ぬ。そして死んでいても気づかない。それが天然のカタチ。死んでわかった。天然というものはどういうものなのか。嬉しかった。やっとわかったから。死ねばわかるんだって解明したんだ。死んでよかった。でもどっちにしろ死んでた。それは事実だった。死にたくはない。でも死にたい。それが人間だった。
コメント
1件
このお話、すごく心に刺さりました…。「天然のカタチ」を自分に正直なことだと定義して、死んでから気づく構成が切なくて美しかったです。誰にも話してもらえない孤独感、死にたいのに死にたくないという人間の矛盾——短い中にぎゅっと詰まっていて、読み終わった後ずっと考えてしまいました。文字通り死んで初めてわかる真実というのが皮肉で、でもどこか納得させられる文体が印象的でした。