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#ハッピーエンド
梨本和広
586
奏多
「唐傘お化けが現れたあと、地図にたくさんの光が点ってたよな。
あのとき、京都全体が映ってた。
あれが完成形なんだろう」
あのたくさんの光はゲーム開始の合図だったんだ、と倫太郎は言った。
息を切らした壱花とぬっぺっぽうと烏天狗の前で。
「……あのー、後からゆっくり来て、ゆったり解説しないでくださいますか?」
そう膝に手をつき、壱花は言った。
あやかしを追いかけて走ったのは壱花だけで、男二人は地図を見ながらゆっくりやってきたのだ。
倫太郎はまた月に地図を透かして見ている。
これから光る場所が幾つあるのか、うっすらとでも見えないかなと思っているのだろう。
「どうでもいいですけど、消えないんですけど。
この二体」
と壱花が烏天狗たちを見ながら言うと、
「まだ地図に反映されてないからかな。
地図持ってないお前が追いかけても意味なかったか」
と倫太郎は無情なことを言ってくる。
いやいや。
私が追いかけたから、止まってくれたんではないですか……、
と思う壱花の前で、地図を持った倫太郎があやかしたちに近づた。
ポッと地図に赤い光が点灯する。
景色が変わった。
今度は竹林に囲まれている。
「とっても嵐山な感じがしますね」
と壱花が夜風に揺れる竹林の音と、土の匂いを嗅ぎながら言う横で、冨樫が、
「どのくらいの感度なんでしょうね? この地図」
と倫太郎と話していた。
「車のリモコンキーくらいじゃないか?」
あやかしにどのくらい近づいたら、反応するのかという話のようだ。
そのとき、強い風が吹き、葉擦れの音に混ざって、カン、コン、カン……という澄んだ音が頭の上からしてきた。
風に揺れた竹同士がぶつかっている音のようだ。
「京都だと思うせいか、風雅に感じますね。
うちのおばあちゃんちの辺りの竹林とか、密集しすぎているのか、風が強すぎるのか。
ものすごく激しいですよ、カンコンキンコン。
のど自慢大会で優勝したのかなって感じです」
そんな壱花のセリフは地図を見ている倫太郎に軽く流された。
「さ、次を探すか」
「でもあの~。
唐傘お化けと違って消えないんですけど、この人(?)たち」
と壱花は、まだ目の前に居るぬっぺっぽうたちを見る。
顔を上げて、倫太郎が二体を見ると、彼らはびくりとした。
視線だけで、あやかしが怯えている……。
実は、この人こそ、あやかしの総大将なんじゃなかろうか、と思う壱花に倫太郎は言ってくる。
「唐傘お化けはスタートの合図だったのかもしれないな。
もしかして、此処から後のあやかしは全部付いてくるのかも」
「……それ、百鬼夜行状態になりませんか?」
また百鬼夜行が完成しませんか?
と花札のときを思い出しながら壱花は言ったが、
「遭遇しても死なない呪文があった気がする。
それでも唱えとけ。
始まってしまったからには仕方がない
せめて、早く終わらせないとな。
次行くぞ、次」
と言う倫太郎を先頭に、壱花、烏天狗、ぬっぺっぽう、冨樫は、ゾロゾロと竹林を歩いていった。
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