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昼休み。教室の隅、誰もいない場所に、日本はそっと腰を下ろした。
弁当はぐしゃぐしゃに潰されていた。
昼休みのはずなのに、腹の音さえ鳴らない。
空腹を感じなくなるほど、心がすり減っていた。
ノートは水に濡れて破れ、教科書には今日も落書きが増えていた。
ゴミ箱の中には、自分が書いたレポートの破片が捨てられていて、誰がやったのかなんて、考えるまでもない。
(私が、何か悪いことをしたのかな……)
そんなことを考えてしまう自分が、何より惨めだった。
でも、それでも。
日本「アメリカさんは、優しいから……」
呟くようにそう言って、自分に言い聞かせる。
皆が冷たい中で、たった一人、笑ってくれる人。
あの優しい手。
優しく笑ってくれる声。
それが、今の自分にとって唯一の救いだった。
——ガラッ。
アメリカ「おーい、日本!」
聞き慣れた声がして、教室のドアが開く。
アメリカだった。
明るい笑顔、まるでドラマの主人公みたいに、太陽のように輝いて見える。
アメリカ「またやられたのかよ〜、ほんっと最低だな、あいつら」
そう言いながら、アメリカさんはこっちに歩み寄り、無造作に落ちた教科書を拾ってくれた。
アメリカ「俺が何度言っても、アイツらやめねぇんだよなぁ。ったく……」
そう呟きながら、机の上のゴミを払い、そっと私の横にしゃがむ。
アメリカ「でも、俺はちゃんと見てるからな。日本が頑張ってるの、知ってる。」
その言葉に、心が一瞬、温まる。
日本「……ありがとうございます。アメリカさんがいてくれて、本当に良かった」
そう返すと、アメリカさんは微笑んだ。
いつもの、優しい笑顔。
でも——その瞬間、一瞬だけ、その笑みに影が差したように見えた。
アメリカ「あぁ。……日本は、俺だけ見てればいいよ」
その言葉に、なんとなく胸が詰まる。
(なんでだろう。優しいはずなのに、苦しい……)
けれど、すぐに思い直す。
自分が弱ってるだけ。疲れてるだけ。
アメリカさんが優しいことに、変わりはない。
アメリカ「なあ、日本。最近、元気ないけど……アイツらのせいで壊れたり、なんてしないよな?」
日本「大丈夫です。私、平気ですので」
アメリカ「……そう。なら、いいんだ」
ふっと、アメリカさんは何かに満足したように笑った。
その横顔を見つめながら、日本は、心の奥で微かな違和感を覚えていた。
けれど、それが“何か”に気づくには、まだもう少し、時間がかかる。
——この教室は、全てが偽り。
感情という名の首輪を、日本はまだ分かっていない。逆に、知っては壊れてしまうから。
「日本が笑ってくれるなら、俺は、なんだってしてやるよ。……なぁ、日本?」
(⸝⸝⸝ ᷇𖥦 ᷆ ⸝⸝⸝)フヘヘ
呪術廻戦おもしろーい。見てない人がいるなら、見ましょう。ではまた!