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朝、教室に入った瞬間。誰もいないはずの教室に、冷たい笑い声だけが残っていた。
机の上には、黒く塗りつぶされた名前。
イスには、カッターの刃が貼り付けられ、足元には破られたプリントが撒き散らされている。
「…………」
日本は、何も言わずにしゃがみ込んで、それを片付けた。
もう慣れた光景だ。驚きも、怒りも、悲しみさえも通り過ぎて、今ではただ無表情で受け止めるだけになっていた。
(痛いのは、…誰も、それを気にしないこと…ですかね)
教室に生徒たちが集まり始める。
韓国は鼻で笑い、中国が視線を逸らす。
フランスは無邪気なふりをして「やっほ、日本!」と声をかけながら、自分の席へ行った。
——そして、その中心にいるのが、アメリカ。
アメリカ「よう、日本。今日も朝からやられたか?」
いつもの明るい声。
その声がするだけで、ほんの少しだけ、胸がふっと軽くなる。
日本「……はい。でも、アメリカさんがいてくれるから大丈夫ですよ」
そう言うと、アメリカさんはにこっと笑って、私の頭を軽く撫でた。
アメリカ「そっか。偉いな、日本は。ほんと、頑張ってるよ」
その言葉だけで、救われる気がした。
誰も味方がいないこの場所で、アメリカさんの言葉だけが、本当の”光”に見えた。
——でも、それは日本の目線だけだった。
教室の隅で、じっと様子を見ていたロシアが、小さくため息をつく。
(……また、あの顔か)
アメリカの笑顔の裏にある“狂気”を、ロシアは何度も見ていた。
まるで、日本の反応を楽しんでいるように。
まるで、壊れていくのを待ち望んでいるように。
けれど、ロシアは何も言わなかった。
アメリカが怖かった。
下手に関われば、自分まで潰される。
それに——
“どうせ、誰も日本を助けない”
そう決めつけてしまった方が、ずっと楽だった。
昼休み。
日本はアメリカの隣で、コンビニのおにぎりを食べていた。
アメリカが買ってきてくれたものだった。
日本「いつもありがとうございます。……私、最近、誰ともちゃんと話せなくて……」
アメリカ「気にすんなって。日本には俺がいるだろ?」
日本「……はい。アメリカさんが、いてくれるから」
それが、日本にとっての“救い”だった。
だけど。
机の下、アメリカのポケットから見えていたのは——
韓国の名前が書かれた封筒。
中には、現金が入っていた。
(……気づかなくていい。お前はそれでいいんだよ)
アメリカは笑った。
日本の無垢な瞳を見つめながら、心の中で、そっと呟いた。
《もっと壊れろよ。もっと俺にすがれよ。全部、オレだけのものにしてやるからさ》
日本は知らない。
優しさの中に、どれほど深い毒が混ざっているのかを。
でも、今はまだそれでいい。
だって、信じているから。
アメリカだけが、自分の味方だと——。
なんか、いじめって酷いよね。
そんだけです。ではまた!