テラーノベル
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暖かい日差し。
優しい匂い。
私にイタズラを仕掛けてナンボだというように、
春は花粉を振り撒いていく。
その中で、朝におはようを交わして彼女と話す。
「ねぇすいちゃん、みこさ、死にたい!」
「…そっか」
毎日のように繰り返される言葉。
貴方の本心なのかもわからないのに、少しずつ降り注いで積もっていく。
[死にたい]
貴方がいつも笑顔で言っている 言葉は、
軽いようで重たくて、
私を大きく揺さぶり、迷わせる。
ねぇみこち、貴方は
どっち、?
「彗星の如く現れたスターの原石!
アイドルVtuberの星街すいせいです!」
「すいちゃんは〜!?」
いつもの挨拶と表情を作って、
もう慣れた、少し小っ恥ずかしい挨拶をする。
「っ、」
画面に写る文字が視界にうつる。
『今日もち~さぁいー!』
『今日もちっs…かわいい!』
自分自身の体のコンプレックスがバカにされるのが当たり前になり、定番化した。
「おい?圧」
そのコメントが書き足されるほどに、
〔嫌だからやめて〕って言葉が喉につっかかる。
いつも通りの会話。
それがどうにもプレッシャーを感じて苦しくなる。
「おつまち!」
そう言って配信を切る。
配信を終える。
そのたびに、
今日もいっぱい言われたアンチコメントを思い返して 、
まるで本当に針で刺されたような気持ちになる。
「…いた、い、なぁ、」
笑顔が少しずつ消えてって、目から雫が溢れ出る
苦しい。
痛い。
悲しい。
寂しい。
怖い。
全部全部、
よくわかんなくなって、混ざり合って、
また大きな針に成り変わり、
私の心を深くえぐる。
「ごめん、なさい、」
自分でも誰に向けているのかもわからない謝罪を吐き出して。
誰かに許しを乞う。
許してほしいわけじゃない。
助けて欲しい。
自分は逃げてるんじゃ無い。
頑張っているんだ。
それを誰かにわかって欲しい。
認めて、優しく包んで欲しい。
[死にたい]
「っ、!」
これだけは、この言葉だけは口にしない。
出来ない。
口に出したら、本当に死んでしまいそうなんだ。
死にたい、けど、怖い。
それなら、
「だ、れか、殺して、?助けてっ、!」
布団にくるまって、掠れた声で言葉を吐き出す。
その度に世界に一人取り残されたような、
独りぼっちのような気になって、
腕の中に枕を抱く。
「…、、」
瞼が重い。
いつも通りを繰り返す。
寝てしまえば、また苦しい明日が来てしまう。
眠気に対抗しながらも、
意識は夢に沈んでいく。
「お休、みなさい、。」
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