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ひとつ。
父親に反抗をしない事。
ふたつ。
母親に認知される事。
みっつ。
期待に応える事。
これがおとうさんとおかあさんが
きめたるーる。わたしのゆるされること。
やらないといけないこと。
岸々峰小学校
三年二組
なかむら ゆずは__
わたしは20××年、5がつの14にちに、
ここで死んだ。
ともだち
『××からきました。なかむらゆずはです。』
そいつはそう言った。
あたしはこう思ったんだ。
へんな奴。 って。だってさ、てんこーせいは
もっと可愛いはずだし。おめめだって二重で、
東京?から来るのがふつーじゃないの?
あたしはへんなのーって、ずっとぶつぶつ
言ってた。そしたらあのクソジジイ!あんなのをあたしのとなりにしやがった!
『そうしたら、みつきさんの隣に』ですって?
冗談じゃない…なんて思っていたら、あいつ、こんな事言い出したの。
『おとなりさんだね!まだ学校のこと
あんま知らないしさ、おしえてよ!
えっと、みつき…ちゃん?おねがい!』
だって… ばっかじゃないの?
私はその時、こう口にしたんだ。
あれが、あれが柚葉の
地獄の始まりだったんだ。
『クッサ…ちかよんないで』
あたしはそいつに言い放った。
あいつは嫌な顔一つせず、
ただ俯いた。クソジ…あの木村とか言う先生。
そいつは『あとで職員室に来なさい』だって。
バカじゃないの?またやるって
知ってるくせに。大人ってほんとバカ。
それなのに、あいつはあたしのふわふわな
袖をつまんで口を開いた。
『ごめんね、くさくて、ごめんなさい。
だからね、だから、なぐらないで。』
….. 震えた声がうるさい教室に、
小さかったはずの震えた声が教室に響いた。
教室に沈黙が訪れた。
あたしは怒っていた。
『あたしが暴力する女だと思ってんの!?
ほんとにバカ、そんなんだから
お子ちゃまは嫌いなのよ!』
そう言って、袖を掴んだ柚葉の手を離させた 。
柚葉は、あたしにしか聞こえないほど
ちっさい声で、こういったんだ。
『だって、ぱぱはいつもそうだもん』
あたしはハッとした。
気づいたらこう返していた。 『おんなじ』って
かえしてた。そうしたら、柚葉はなんて言った
と思う?
『おんなじならお友達。ママがいってた』
おともだち。みんなにあって、あたしには
ないもの。取り巻きの”オトモダチ” も、あたし
に目を輝かせるモブ子役も、クソスタッフも。みんなあたしの才能目当て。
最初だってそう思ってた。
あたしを見るなり、目を輝かせてた。あぁ、
あたしの事、ちょっとしか…
知らないんだっ…て。
でも違ったんだ。あたしのことわかってくれてたんだ。あたしは泣かないようにって、
唇を食いしばってこう答えた。
『おともだち、約束ね』
柚葉はこう答えた。
『うん。やくそく。』
あの子のことあんまわかんないけど、
取り敢えず優しいのは分かった。
それと、私のお友達ってこと。
体感では10分はあった。けど、その瞬間。
『つき…みつきさん!』
口うるさい、あいつの声がした。
あーのクソジジイ、ほんとめんどくさ。
あの後、あいつに超おこられた。
鈍臭いあいつに、控えめに悪口を
ぶつけて、あたし、笑ってやった。超うける。
んで、それでもって。
柚葉はくすくすと笑ってた。別に特別可愛い訳でもなければ、特別何かに長けている訳でもない。ふつーの、ただ、ふつーの女の子。だけど、人一倍やさしくて、あざだらけで、努力家の、ふつーの女の子。クソジジイは許せないけど、あんたなら許せるかもね、柚葉。
みつきのあめだま
『もらっちゃった、おかし。』
おかあさんにそう言った。
キャンペーンで配ってたあめだま。
おかあさんはいつもとおんなじ。
私は顔を顰めて、あめだまをくちに
放り込んだ。べつに悔しい訳じゃない。
あたしは普通の、ごく普通の一般家庭だし、
みんなさみしい思いも、
悔しい思いもしてるから。
期待に答えればおかあさんは優しいし、
おとうさんもうるさくならないから。
だから、あたしは頑張る。今日、あめだまを
舐めたから、きっとご飯はでないけど、
それでも、今日もらったあめだまは、
今までたべたおかしのなかで、
一番甘くておいしかった。