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春の朝って、見た目より冷えるよね。窓の外には桜が咲いてんのに、空気はまだ冬を引きずってる。
リビングに入ってきたイギリスが、くしゅんと小さくくしゃみした。
フランス「……ん? イギリス、まさか風邪?」
イギリス「いえ、大丈夫です。少し花粉が……いや、寒暖差のせいかもしれませんが、問題ありませんので」
フランス「全然大丈夫じゃないじゃん。顔、赤いし」
イギリス「これは……その……湯冷めかと……」
フランス「お風呂出たの昨夜でしょ? もう、バカじゃん。なんでこんな薄着で歩き回ってんの」
イギリス「暑かったので……」
フランス「素直に『寒かった』って言えばいいのに。ほら、毛布。あと、寝といて!」
イギリス「仕事が……」
フランス「イギリスの体調のがダイジ!寝て治そ。あと水飲む」
イギリス「……っ、うるさいです……私の体ですから……」
フランス「じゃあその体、僕が面倒見るって決めたんだよ。だから黙って寝ろっていってんのー!」
イギリス「……なんなんですか、もう……」
むすっとした顔で毛布にくるまったイギリスが、ちょっとだけ視線をそらした。
フランス「なに? 怒ってんの?」
イギリス「……怒ってません。ただ、その……構われすぎると……慣れてなくて」
フランス「へぇ。じゃあこれから毎日やったら慣れるってこと?」
イギリス「……っ、だからそういう言い方がずるいんですよ」
フランス「はいはい。……でもさ」
イギリス「?」
フランス「イギリスが風邪ひくたびにこうして看病できるなら……春がちょっと寒くても悪くないよ」
イギリス「……バカですか、ほんと」
でもその声には、もう熱っぽさじゃなくて、少し照れた温度が混じってた。