コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
食べ物の屋さんの前で品定めして楽しんでいる人。立ち話をして笑い合っている男女。子連れの親子が楽しそうに飲食店らしきところに入っていく。
少し遠くの方を見ていると展けているところがあった。そこではダンサーや小さい楽器を弾く人が楽しそうに踊ったり演奏したりしていて、その音楽やリズムに合わせて歌ったり一緒に踊る人もいた。
(…ここに、癒姫華はいるのだろうか…….)そう思っていると突然声を掛けられた。
「あら、お前さん。見ない顔じゃないの。どこから来たんだい?」そう言ってきたのは、気さくそうなおばさんだった。
「すみません…それが分からなくて」別の世界から来たことは黙っといた方がいいだろう。
「そうかい。じゃあ、泊まるとこもないんじゃろ。うちの宿屋においで」
あれから俺は有無も言わされず、手を引っ張られされるがまま彼女の経営する宿屋に来た。
「ちなみに、宿泊代は無料じゃ。ゆっくりしとくれ。朝昼夜とご飯は用意したるさかい。お風呂とトイレは自分の部屋のものを使っとくれ」そう言われて、俺は部屋に案内された。
中は素朴な感じの部屋で、シンプルなベットと机と椅子、そしてクローゼットが一個あった。
「ここがお前さんの部屋じゃい。というか、お前さんの名前を聞き忘れてたのう。なんて言うんじゃ?」
「あ、僕の名前は……アリンです」
「そうかい。私の名前はテホーラって言うんじゃ。覚えとくれ」…珍しい名前だな…どっかで聞いたことがある。
「はい。テホーラさん。これからよろしくお願いします」俺はそう言った後、癒姫華を探しにいかなければならないことを思い出し、とりあえず今は冷静にこの世界について聞き出そうと思った。情報もなしに動くのは無謀だ。まずは、普通に癒姫華について聞いてみよう。
「あの、テホーラさん。この近くで茶色の髪をしたロングヘアーの女の子を見ませんでしたか?ミント色の服を着ているんですが…」すると帰ってきた返答はとんでもないものだった。
「その子かい?んー、そうねぇ、最近城の方で“鍵の子”を捕まえたっていう噂が広まってたりするねぇ。確か女の子だった気がするけど」鍵の子…?それに城ってなんだ?捕まえられた…もし、その鍵の子が癒姫華だったとして、なんでなんだ?それに無事なのか…。そう考え始めたらキリがないほどに心配や不安がドンドン募っていく。
「テホーラさん。すみませんが、その城までの道教えてくれませんか。その鍵の子がもしかしたら僕の大切な人かもしれないんです」俺は言った。真剣に、ただ早く今すぐにでも確認したかった。今すぐにでも彼女じゃないことを信じたかった。
「…その子はアリンの恋人か何かなのかい?」
「はい。世界でこの世で1番愛してる人です」そう俺が言うと、テホーラさんは笑みをこぼして、そうかいと言うと
「いいよ。お前さんに教えてやろう。それにお前さんの服装見たことないから遠い他のとこから来たんじゃろ。だから1個だけ教えてあげようか。この世で1番凄いのは時計を持ってる者じゃよ」
それを聞いた時何かが俺の中で目覚めた気がした。