テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
気づいた時には、空が暗かった。
「……っ」
息が荒い。
どれくらい時間が経ったのか、分からない。
考えていたはずなのに。
気づけば――夜。
「……最悪だな」
ルナティックの気配。
昼とは違う。
濃い。
多い。
「……チッ」
ショットガンを構える。
撃つ。
一体、吹き飛ぶ。
すぐに次。
数発打つ。
近い。
「……くそっ」
また引き金を引く。
――カチ。
「……は?」
もう一度。
カチ、カチ。
「……弾切れかよ!!」
舌打ち。
距離はもう、詰められている。
ナイフを抜く。
間に合うか――
「……っ」
囲まれる。
逃げ場はない。
「……ここまでか」
小さく呟く。
不思議と、静かだった。
「……」
赤が、頭をよぎる。
トマトの赤。
血の赤。
エリオットの顔。
「……」
目を閉じかけた、その時――
影が、落ちる。
「……」
一瞬で。
空気が変わる。
ルナティックが、止まる。
いや――
怯んだ。
「……遅い」
低い声。
聞き慣れた声。
「……」
次の瞬間。
ルナティックが、まとめて吹き飛ぶ。
速い。
見えない。
ただ結果だけが残る。
「……」
気づけば。
目の前に、立っていた。
ノスフェラトゥ。
赤い瞳。
あの時と同じ。
「……」
静かに、手が差し出される。
「……来い」
短く。
それだけ。
「……」
時間が、止まる。
その手。
さっきまでなら、迷わなかった。
でも――
「……」
エリオット。
あの瞬間。
あの光景。
「……」
同じ手だ。
同じ距離。
同じ、捕食者。
「……」
拳が、震える。
「……ふざけんな」
小さく呟く。
「……?」
ノスフェラトゥの眉が、わずかに動く。
「……その手で」
顔を上げる。
10,618
睨む。
「……あいつ、殺したんだろ」
空気が、凍る。
「……」
返事は、ない。
否定も、しない。
「……っ」
その沈黙が、答えだった。
「……触んな」
差し出された手を――
払う。
強く。
「……」
乾いた音。
距離が、開く。
「……」
ノスフェラトゥの瞳が、わずかに揺れる。
ほんの一瞬。
だが、確かに。
「……助けてほしいって顔かよ」
吐き捨てる。
自分でも分かる。
感情が、ぐちゃぐちゃだ。
怒り。
恐怖。
それと――
別の何か。
「……」
ノスフェラトゥは、動かない。
ただ、見ている。
「……なんでだよ」
声が、少しだけ掠れる。
「なんで今さらなんだよ」
問いかける。
答えは、分かってるのに。
「……」
沈黙。
風が吹く。
ルナティックの残骸が、転がる。
「……」
その中で。
ノスフェラトゥが、ゆっくり口を開く。
「……あぁ」
短く。
「殺した」
はっきりと。
否定しない。
逃げない。
「……」
その一言で。
胸の奥が、強く締まる。
「……」
もう、戻れない。
さっきまでの関係には。
「……」
それでも。
目の前にいる。
助けた存在が。
「……」
沈黙が、続く。
夜の中で。