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ゆゆゆゆ
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「……俺の、親友だった」
夜の空気に、声が落ちる。
「……」
ノスフェラトゥは、何も言わない。
ただ、視線を外さない。
「……どうしてだ」
一歩、近づく。
怒鳴らない。
その代わり、低い。
「どうして親友を殺した?」
沈黙。
風の音だけが流れる。
そして――
「……空腹だった」
あまりにも、あっさり。
飾りも、言い訳もない。
「……」
息が、止まる。
「……は?」
思わず、笑いそうになる。
「それだけかよ」
「……あぁ」
迷いがない。
「だから、一体だけにした」
「……」
言葉が、すぐには出てこない。
あの時。
確かに。
「……俺は、生きてた」
ぽつりと漏れる。
もし本当に“ただの虐殺”なら。
あの場にいた全員が、同じように死んでいたはずだ。
「……お前も」
続ける。
「ここへ来て、肉を食べたろう」
静かに。
「生物の肉だ」
視線が、わずかに落ちる。
「私にとっては、それと同じ事だ」
「……」
言葉が、返せない。
確かに。
食べた。
生きるために。
何も考えずに。
「……」
喉が、乾く。
「……じゃあ」
やっと出た声。
「俺も、ただの肉なのか?」
「……」
初めて。
ノスフェラトゥが、言葉を止める。
「……」
沈黙。
さっきまで即答だったのに。
今は、違う。
「……」
その“間”が。
答えだった。
「……」
胸の奥が、少しだけ揺れる。
怒りは、ある。
消えない。
あの赤。
エリオットの声。
全部、消えない。
「……」
でも。
同時に、思い出す。
空腹。
あの限界。
何でもいいから食いたかった日々。
「……」
分かる。
分かってしまう。
それが、嫌だ。
「……クソ」
小さく吐き捨てる。
「……」
ノスフェラトゥは、動かない。
ただ、待っている。
「……恨むよな」
ぽつりと。
「普通なら」
「……」
返事はない。
できない。
「……でも」
顔を上げる。
「できねぇんだよ」
はっきり言う。
「……」
その言葉に。
ノスフェラトゥの瞳が、わずかに揺れる。
「……俺も知ってる」
低く。
「腹減るってどういうことか」
拳を握る。
「何でも食えるって思う瞬間」
「……」
一歩、近づく。
今度は、止まらない。
「……だから」
息を吐く。
「全部お前のせいだって、言い切れねぇ」
「……」
沈黙。
重い。
だが、逃げない。
「……」
数秒。
そして。
ノスフェラトゥが、わずかに目を伏せる。
「……そうか」
短い。
それだけ。
「……」
夜の風が、吹く。
冷たい。
完全に憎めたら、楽だった。
完全に許せたら、もっと楽だった。
でも。
どっちにも行けない。
「……」
ただ――
向かい合う二人は。
同じ“飢え”を知っているという事実だけが、残った。