テラーノベル
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「神条、そんなに俺の死に様が面白かったか?」
意識を取り戻した病院のベッドの上。俺はゆっくりと体を起こした。
全身を砕いたはずの激痛は、すでに存在しない。俺の中に芽生えた『森羅万象』の権能——世界のあらゆる理、概念、存在を書き換える神の力が、俺の肉体を完全に再構成していた。
『司様! 体調はいかがですか!?』
頭の中に、可憐でどこか必死な声が響く。この力を俺に捧げてくれた女神、ヘカーティアだ。
「問題ない、ヘカーティア。完璧だ」
『よかったです……! それで、あの愚か者たちへの裁きはどうされますか? 現代の概念を少しずつ書き換えて、じわじわ追い詰めますか?』
「いや」
俺はスマホの画面に表示された、クラスグループチャットを冷たく見つめた。
相変わらず神条や鬼塚たちが俺の飛び降りをネタにして盛り上がり、担任の黒岩は保身の言葉を連投している。
俺を殺しかけた加害者も、笑っていた取り巻きも、黙認していた傍観者も。
誰一人として、罪の意識など持ち合わせていない。
「ちまちまやるのは性分じゃない。一瞬で、逃げ場のない『俺の庭』に引きずり込む」
『俺の庭……? まさか!』
「ああ。お前が管轄するあの異世界に、クラス全員を拉致する」
俺は右手を静かにかざし、思考を巡らせた。
**【対象:1年B組の生徒30名、および担任・黒岩勉、学年主任・大河原剛】**
**【象徴:座標の書き換え、および次元転移の強制実行】**
「森羅万象——『転移』」
世界の理が、俺の指先一つで書き換わる。
◇
**【場所:異世界・荒涼とした断崖絶壁】**
「うわあああっ!? なんだここ!?」
「え、なに!? 教室にいたはずなのに!?」
「虫!? でかいトカゲみたいな化け物がいるんだけど!!」
パニックに陥った悲鳴が、見知らぬ赤い空に響き渡る。
突然、荒野の真ん中に放り出された32人は、パジャマや制服姿のまま地面にへたり込んでいた。
「おい神条! どうなってんだよこれ! ドッキリか!?」
「知るかよ! 鬼塚、お前なんか知ってんのか!?」
うろたえる主犯格たち。泣き叫ぶ女子たち。
その中心に、俺は優然と降り立った。
「やあ。移動はお気に召したかな」
「……つ、近衛……!? お前、病院で意識不明じゃ……!」
神条が目を丸くして俺を指差す。
俺はポケットに手を突っ込んだまま、冷ややかな視線を一斉に注がれるクラスメイトたちに向けた。
『ふふ、見苦しいですね司様。あの者たちの怯える顔、実に見物です』
隣に、可憐な銀髪をなびかせたヘカーティアが姿を現す。
彼女の神聖な美しさと圧倒的な神威に、騒いでいた全員が息をのんだ。
「近衛……その女は誰だ? それにここはいったい……」
黒岩担任が震える声で前に出てくる。俺はそちらを見向きもせず、淡々と告げた。
「ここはヘカーティアが治める異世界だ。そして——今日からお前たちの新しい地獄だ」
「は、はあ!? わけのわからんこと言ってんじゃねぇぞ陰キャが!」
鬼塚が怒声とともに俺へ掴みかかろうと踏み出す。
俺はただ、指を一本立てた。
「森羅万象——『重力倍増』」
「グハッ……!?」
鬼塚の体が、まるで巨大な鉄塊に押し潰されたかのように地表へ叩きつけられた。みしみしと骨のきしむ音が響く。
「ひっ……!? なに、なにが起きたの!?」
姫宮莉乃が悲鳴を上げて後退る。
「言ったはずだ。俺は森羅万象を司る。この世界において、俺の言葉は絶対の法則だ」
俺は地べたに這いつくばる全員を見下ろした。
恐怖に引きつる神条の顔。言葉を失う担任。涙目になって震えるクラスメイトたち。
「現実世界でお前たちが俺に与えた絶望。ここでじっくり、万倍にして返してやる」
冷酷な宣告とともに、俺の『異世界ざまぁ』の幕が上がった。
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コメント
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読ませていただきました…! 第1話で主人公が追い詰められて飛び降りたあの衝撃から、この第2話での圧倒的な反転——「森羅万象」の力で異世界にクラスごと転移させてしまう展開、ゾクゾクしながら読みました。ヘカーティアの可憐な声と、主人公の冷徹な宣告の温度差がたまらなくて…特に「今日からお前たちの新しい地獄だ」の一文には鳥肌が立ちました。ざまぁ展開がここからどう加速するのか、続きが気になります!