テラーノベル
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AttentionとSettingは、第一話をご覧ください。
start.
先生「じゃあ次、席替えなー」
教室が一気にざわつく。
「えー!」
「先生早くない?」
「さっき隣よかったのに〜」
そんな声が、あちこちから聞こえる。
🍌side
……席替え。
さっきまで隣にいたmenを見る。
🐷「運ゲーだな」
🍌「だね」
軽く笑って返す。
でも、内心はちょっと複雑だ。
せっかく隣だったのに。
先生「順番に引いてけー」
前の列の人から、くじを引き始めた。
教室のあちこちで、
「やったー!後ろ〜」
「うわアリーナ…」
「乙w」
と声が上がる。
次々と列が短くなっていき、
ついに俺がくじを引く番になった。
menと近くがいいな…。
なんて心のどこかで願いながら、くじを引いた。
🐷「次俺〜」
menも順にくじを引いた。
🍌「何番?」
🐷「んーとね」
menが数字を確認する。
どこか、緊張した面持ちだった。
🐷「12番」
🍌「俺…13番」
隣…か?
🐷「数字近いな」
🍌「だね」
隣かもしれないという、
淡い期待が膨らむ。
🐷「座席表見に行こうぜ」
🍌「うん」
2人で黒板に貼られた紙を見に行く。
そして、
🍌🐷「え……」
同時に声が出た。
俺の席は、窓側の後ろ。
menは、
教室の前の方。
……めっちゃ離れた。
え、数字近いのに席遠いとか、
そんなフェイントあんの?
🐷「運悪っ」
🍌「ほんとだよ」
🐷「数字紛らわしすぎな?w」
🍌「ねw」
笑って返すけど、
少しだけ、寂しい。
さっきまで隣だったのにな。
🐷「じゃあ後で…な」
🍌「うん」
軽く手を振って、
それぞれの席へ向かった。
窓側の席に座る。
春の風が少し入ってきて、
カーテンが揺れた。
……遠いな。
視線を前に向ける。
すると、
女子たちに囲まれているmenが見えた。
「冥人くん部活入るの?」
「身長高いね〜」
「連絡先とか…!」
そう言って1人の女子が、menと腕を絡めた。
🍌「っ……」
……ほらね。
やっぱり。
中学の頃からずっとそうだった。
menは困ったように笑っている。
あの笑い方、
女子に人気なんだよなぁ。
🍌「……」
胸の奥が、少しだけモヤっとする。
別に、
俺のものじゃないのに。
🐷side
席に戻った瞬間、
女子に囲まれた。
「冥人くん!」
「どこの中学なの?」
……やばい。
こういうの、正直苦手なんだよなぁ……。
適当に相槌を打ちながら、
俺は無意識に後ろを見た。
窓側の席。
おんりーが、
外を眺めていた。
……あれ。
なんか、
寂しそうに見える。
胸が少し、
痛くなる。
…ほんと、
俺、おんりーのことばっか見てる。
先生「えー早速だが」
先生が何やら話し始めた。
俺の周りの女子軍団が散り始める。
「また後でねー!」
「ばいばい!」
🐷「あはは…」
…はぁ。
疲れた。
🍌side
先生「2週間後ぐらいにだな、
校外学習がある」
「えー!?」
「どこどこ〜?」
歓喜の声が、教室に響く。
先生「場所は——
原爆資料館だ」
教室が、少し静まり返った。
「あーあれね」
「戦争のやつか」
「平和学習ってやつ?」
少し興醒めしたような雰囲気も感じられる。
先生「班で行動するぞ
班は席の近くの人と6人ずつだ」
その言葉で、またざわつく。
……あ。
前を見る。
menの席は、かなり前。
俺は後ろ。
…別の班か。
少しだけ胸の奥が沈む。
「この辺で班組もうぜー!」
周りの男子が声をかけてくる。
なんとなく、人が集まって、
班ができていく。
ふと前を見ると、
「冥人くん同じ班じゃん!」
例の女子が、嬉しそうに言った。
「やった〜!」
menの腕を軽く叩く。
🐷「…お、おう」
困ったように笑っている。
……やっぱり。
昔からそうだった。
menは女子からの人気がすごい。
なんとなく、見ているのが嫌で、
視線を外した。
校外学習当日。
朝。
学校の前にバスが停まっていた。
「うわでか!」
「修学旅行みたい!」
みんなテンションが高い。
……胸の奥が少し重い。
今日行くのは、原爆資料館。
テレビで見たことがある。
白黒の写真とか、
痛々しい展示とか。
正直、
ああいうのが苦手だ。
胸がギュッとなる。
でも、
そんなこと言えるわけない。
班のみんなは楽しそうだし。
「乗ろうぜー!」
声に押されて、バスに乗る。
席に座る。
そして、ふと前を見た。
「冥人くんこっち!」
例の女子。
menがその隣に座る。
「ねえねえ冥人くんさ」
女子が、ぐっと距離を詰める。
…肩が触れそうなくらい近い。
🐷「…近い」
小さく言うmen。
「いいじゃん別に〜」
女子は笑って、腕を絡めた。
胸が少し痛い。
視線を窓の外に向ける。
別に、
俺には関係ない。
その時、
ふとmenが後ろを振り向いた。
目が合う。
🐷「……」
一瞬、
困ったような顔。
でもすぐ、女子に話しかけられて前を向いた。
……やっぱり、人気者だな。
資料館。
バスを降りると、
先生が言った。
先生「班ごとに見て回れー」
館内は、思ったより静かだった。
さっきまで騒いでいたクラスも、
自然と声が小さくなる。
展示を見る。
写真。
焼けた時計。
溶けたガラス瓶。
胸の奥が、
少しずつ重くなる。
……やばい。
息が浅くなる。
班の奴が言う。
「次こっち行こうぜ!」
🍌「……う、うん」
歩く。
必死に、右足と左足を動かす。
でも、
だんだん頭がぼーっとしてきた。
苦し紛れに、壁に手をついて、
呼吸を整える。
……やばい。
息、苦しい……。
その時、
🐷「おい」
聞き慣れた声。
顔を上げる。
menだった。
隣には、さっきの女子。
「冥人くーん?」
🐷「…悪い」
menが、女子の腕を
軽く振り払った。
🐷「ちょっと行ってくる」
そして、
さっきまで女子に掴まれていた手で、
俺の手首を掴む。
🐷「顔色やばい」
🍌「…‥平気」
🐷「嘘つけ」
短く言って、
外へ連れて行った。
外の空気。
深呼吸する。
少しだけ、
楽になる。
🐷「ほらな」
menが言う。
🐷「やっぱ無理してたろ」
🍌「……」
なんで、
なんでわかるんだよ。
その時、
足音が近づく。
「冥人くーん!」
また例の女子だ。
「班もう行っちゃうよ?」
そして、俺を見る。
「あ…ここにいたんだ」
🐷「後で行く」
menが短く言う。
🐷「今、こいつ見てるから」
「え?あ、うん」
女子は少し不満そうだったけど、
「…じゃあ先行ってるね」
と、戻って行った。
静かになる。
🍌「……ごめん」
思わず言う。
🐷「なんで謝んの」
🍌「だって班…」
🐷「平気」
少し沈黙。
何も言わず、背中をさすってくれていた。
🐷「戻れそうか?」
🍌「…う、うん」
少し休んで、館内に戻った。
人はさっきより少ない。
ゆっくりと展示を見る。
歩いていると、
また少し胸が苦しくなってくる。
その瞬間。
手首を、軽く掴まれた。
🐷「無理すんな」
そのまま、腕を差し出す。
🐷「掴んどけ」
🍌「……え」
🐷「また倒れたら困るだろ?」
少し、照れくさそうな顔。
…ずるい。
そっと、menの腕を掴む。
距離が、すごく近い。
さっきとは違う意味で、
心臓がうるさい。
🐷「……歩けるか?」
🍌「うん」
そのまま2人で、
ゆっくり展示を見て回った。
不思議と、胸のしがらみが、
ほぐれていった。
集合。
先生が人数を確認している。
「音璃どこ行ってたんだよ!」
「心配してたんだぞ?」
🍌「ごめん。ちょっと体調が悪くなっちゃって」
「そうだったのか」
「音璃くん大丈夫?」
班のみんなが心配してくれた。
迷惑、かけちゃったな…。
先生も寄ってきた。
先生「もう大丈夫か?」
🍌「はい」
先生は少し笑った。
先生「冥人に感謝しとけよ」
🍌「え…?」
先生「朝、言ってきたんだよ」
思考が止まる。
先生「『あいつああいう展示苦手なんで、
もし体調崩したら、
外連れて行っていいですか』ってな」
え……?
menが?
先生「ちゃんと見てたみたいだな」
先生はそう言って、次の班の確認に行った。
遠くを見る。
menが友達と話していた。
何もなかったみたいに、
涼しい顔で。
🍌「……」
胸の奥が、
じんわり熱くなる。
帰りのバス。
席に座る。
ふと前を見る。
menが、
また後ろを振り向いた。
また、目が合う。
🐷「……」
小さく手招きをしている。
前の空いている席。
menの隣。
……ま、まあしょうがないな。
そう思ってこっそり移動する。
🍌「なに」
🐷「別に」
バスが突然、
少し揺れた。
🍌「っ!」
肩が、menの肩と軽くぶつかった。
🍌「ご、ごめん!」
慌てて離れようとすると、
🐷「別にいい」
menはそう言って、
少しだけ距離を詰めた。
🍌「……ねぇ」
🐷「ん?」
🍌「朝さ」
窓の外を見ながら言う。
🍌「女子と仲良さそうだったじゃん」
🐷「……は?」
🍌「楽しそうだったし」
違う。
こんなこと言いたかったんじゃない。
🐷「別に、全然」
🍌「ほんと?」
🐷「ほんと」
嫉妬心に囚われて、
嫌味が口からこぼれる。
そんな思いを振り払って口を開く。
🍌「……あと」
小さく息を吸う。
🍌「ありがと」
🐷「なんだよ急に」
🍌「覚えててくれてさ」
少し笑う。
🍌「俺がああいうの苦手だって」
🐷「……まぁ」
少し間を置いて、menが口を開く。
🐷「幼馴染、だからな」
そう言って目を逸らした。
でも、
耳が、
少し赤かった。
胸の奥が、
少しだけ暖かくなった。
4275文字。
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コメント
1件
ぎゃー!!まじで尊いです、、、ほんとうに🍌🐷供給助かる、、、!
アピカQ⭐️❄️🎨_qdm
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