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「はい、どうぞ」
食卓にコーヒーの入ったカップを置いて、宮舘が向かいの椅子に座る
「翔太。昨日の話がしたい…俺の話、聞いてくれる?」
優しく、そう問いかけると…渡辺は無言のままに、頷いた
「あのね…俺…。昨日、ショウタに告白された」
思いもよらない告白に、驚きカップを強く握った
「それで、俺は断ったんだけど…。言い方が悪くて、ショウタの事を傷付けてしまった…」
宮舘がショウタの告白を断ったと聞いて
少し、落ち着きを取り戻す翔太
「それを、ショウタに謝りたいんだ。だから身体を貸して欲しい…」
頭を下げる宮舘の、精一杯の誠意に胸を打たれる
「分かった。俺がショウタを呼んでみる…。涼太はそのまま、待っててくれる?」
宮舘が頷いたのを確認して
翔太がスッと目を閉じた
「………」
沈黙が辺りを包み、宮舘がジッと成り行きを見守っている
やがて渡辺の雰囲気が…少し変わった様な気がして、姿勢を正すと
ゆっくりショウタが、目を開けた
「ショウタ、ごめん」
立ち上がって頭を下げると、ショウタも立って…向かい合った
「本当に涼太は優しいよね。こんな実体のない虚無な俺に、ちゃんと向き合って…頭まで下げるなんて…」
「だって、ショウタはショウタだろ?」
「そんな所が、好きだったのに…」
「ごめん。その想いは受け入れられない…。だけど、好きになってくれて…ありがとう」
涙を流すショウタの身体を、優しく包んで抱き締めてやる
「最初はムカつくだけだったけど…少しずつ良い所も見えて来たし」
「俺の良い所?」
「この前、俺が酒に酔って…1人でグダグダしてた時も。翔太にはそれを見せずに、庇ってくれたんだろ?」
ショウタに告白されたと告げた時の、翔太の表情から…
初めて知ったのだと、推測出来た
「だって、涼太…。翔太に情け所、見られたくないんでしょ?」
「うん。そうだね…。そういう気遣いが出来るショウタは、本当は凄く優しいんだと思う」
ショウタは悪ぶって見えるが、ただ素直で…真っ直ぐなだけなのだ
「ねぇショウタ。ショウタの事…聞かせて欲しい。ショウタは何で、俺の前に現れたの?俺達に、何を伝えに来てくれたの?」
「全部、阿部ちゃんに聞いたんでしょ?俺が翔太の願望だって…。涼太、翔太の事…好き過ぎるんだよ」
微笑みながら、そう言うショウタに
「好き過ぎると…何か悪い事が、出てくるの?」
不思議そうな顔をして、宮舘は首を捻って悩み始める
「涼太は、ただ真っ直ぐ過ぎるだけ。俺は格好良く。翔太は自分が守ってやらないと…。そんなんじゃ、お互い疲れて続かないよ…」
「でも俺は…」
「ほら、それ!頑固な所も問題なの!少しは譲る事を覚えないと…その内、翔太が疲れて…倒れちゃうよ」
【翔太が倒れる】そう聞かされて、宮舘の顔が強張った