テラーノベル
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戦争は突然始まったわけじゃない
ずっとそこにあったものが
形になっただけだ
境界線 資源 思想
理由はなんていくらでもある
招集がかかり 名前を呼ばれる
副隊長としてだ
断る選択肢はない
城を出て 門をくぐる、 高い壁が背中に残る
相手は強国、
守る側から攻める側へ 立場が変わっただけ
剣の重さは変わらない
部隊は全員能力者だ
火 風 水 その他諸々
誰もこちらを見ない
それでいい
視線が集まると 判断が遅れる
どんどん前に詰める
足音は揃わない 能力の種類で歩幅が違う
整えない
今はただ進めばいい
最初の衝突
音が割れ、 土と血の匂いが混ざる
初めてではない、でも 決して慣れはしない
剣を振る
能力は端から期待されていない
だから剣だけで十分
背後で誰かが倒れる
それでも振り返らない
前だけを見る
体内時計が狂う
昼か夜かも分からない
空の色が変わっただけ
戦場は続いている 指示が飛び交い
途中で途切れる
瞬時に声の主が倒れたのだと理解する
だから次を出す
短く
『3時 敵3 6時 敵5 』
言葉は少ない方がいい
皆は一瞬迷う
それでも動く
理由は分からなくても
判断が止まっていないことは伝わる
剣を振り続ける
無能力者だから 魔力切れはない、
無能力者だから 判断が濁らない
気づけば
周囲に残っている人間は多くない
それでも 立っている
遠くで隊長 と目が合う
ふわっと小さく笑った
あの明るい笑顔
それを見て 思う
俺なら きっと大丈夫
理由はないし 根拠もない
でも、信頼してくれている
剣は握れている、 足は動く
まだここに立っている
それで十分だ
戦争は終わっていない
削られ 奪われ 続いてく
それでも今
自分はここに立っている
無能力者として
剣を持つ者として
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