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「第三幕 第四章 蒼海を裂く星光」
夜明け前、港町レハルドを静かに出航した〈セレス・マリス〉。
甲板にはあなた、ラシード、セレスティア、そして新たな仲間となったリュミエールが並び立つ。
海は凪いでいるが、その先には月殿の艦隊が待ち受けているはずだった。
「月殿艦隊は三列陣形で来る。正面突破は不可能だ」
リュミエールが海図を広げ、指である一点を示す。
「しかし、この海域には“深きもの”と呼ばれる魔獣が棲む。艦隊はそこを避ける……だが、私たちは敢えて突っ込む」
計画は大胆だった。魔獣の縄張りを通ることで、艦隊の包囲を崩すのだ。
ラシードが不敵に笑う。
「面白い。魔獣が来たら、それごとぶっ倒すだけだ」
やがて水平線の向こうに、黒い影がいくつも現れる。
月殿艦隊――帆には銀色の月紋が輝き、十隻以上の戦艦が進路を塞いでいた。
リュミエールの指示で舵を切り、艦隊の脇をすり抜けるように進む。
その時、海面が盛り上がり、轟音と共に巨大な触腕が甲板を薙いだ。
海の魔獣〈リヴァイアサン〉――全身が藍色の鱗に覆われ、瞳は闇よりも深い蒼を湛えている。
「来やがった!」
ラシードが槍を構える。
あなたは星槍を握り、夜空の星々を呼び寄せる。
甲板が揺れ、波が砕け、月殿艦隊も混乱に陥っていた。
リュミエールが叫ぶ。
「今だ! 魔獣と艦隊を同時に叩く!」
あなたは星槍を振り上げ、星光を収束させる。
「星槍――蒼海断!」
光の奔流が海面を切り裂き、魔獣の触腕と敵艦の船腹を一度に貫いた。
海が轟き、魔獣は悲鳴をあげながら深海へ沈んでいく。
月殿艦隊は旗艦が炎に包まれ、残存艦は四散して逃げた。
甲板に静寂が戻る。
リュミエールが微かに笑った。
「これで海の向こうへ行けるな」
ラシードが星明かりを見上げ、低く言った。
「次は……月殿の心臓を穿つ」
こうして、あなたたちは海を越え、決戦の地〈月影島〉へ向かうこととなる――。