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「桜!おはよ!」
『おはよう、すみれ』
この子の名前は川岸すみれ
わたしの友達だ
「そういえば、進学先決まったの?」
『うん!わたし楠高校に進学しようと思ってるんだ』
「楠高校…偏差値70の所じゃん!」
『うん、だから今頑張ってるんだ』
「そうなんだ!入学できるといいね!」
『うん』
楠高校は結構頭の良い人がわんさかいる高校だ
だからそこに馴染めるようにたくさん勉強しないと…!
「ていうか、今度期末テストだよね…うぅ、嫌だなぁ…」
『うん…わたしも平均点超えないともしかしたら入学できないかもしれないから…』
「本当に?!なら頑張らないとね…」
期末テスト平均点は300点、最低でも400点を出さないといけない
絶対に入ったみせる…!
「桜、すみれ。おはよ」
『おはよう』
「おはよ!芹」
彼女の名前は笹野芹
わたしの親友でもあり幼馴染だ
『そういえば、今日の一限目ってなんだっけ?』
「確か数学だった気がする」
芹がそう言いながらカバンから物を取り出す
「なるほど!桜の得意教科じゃん!」
『うん!』
数学と科学はわたしの得意科目だ
「だけど数学嫌だなぁ…っ」
「よりによって担当河鴫先生だもんね」
河鴫先生はテストを頻繁にやる所謂面倒くさい先生だ
授業は分かりやすいんだけど…生徒に辛辣で嫌われているらしい
キーンコーンカーンコーン
「あっ!チャイム鳴った!」
『席に着かないと』
「うん」
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『ふぁ〜ぁ…それにしても良い散歩日和だな〜』
やっぱりコンビニ行くのやめよっかな〜…
だけど小腹空くし…
あ、そういえばお母さんが作り置きしてるって言ってたな
かんっぜんに忘れてた…
『家に戻んの面倒くさいな…』
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「胡桃ってさ〜マジ何なんだろうね〜?」
「男子も男子だよね〜…あんな奴に騙されて」
「早くハブりたいわ〜!」
「だよね〜」
『…』
まただよ
ぶりっ子あるある…かもしれないけど
陰口を言われてる、だ
女の会話なんて陰口の倉庫なんだから別に何とも思わないけど…
めっちゃムカつくんだよねぇ…
まぁ、わたしに直接言ってるわけでもないし別に良いけど♪
それよりも、明日は葵と会う約束してるんだから張り切らないと!
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『御手洗行こうかな…』
「胡桃ってさ〜マジ何なんだろうね〜?」
「男子も男子だよね〜…あんな奴に騙されて」
「早くハブりたいわ〜!」
「だよね〜」
『…!あ…』
山崎さんが遠くからそれを聞いていた
ど、どうしよう…
…だけど!
『あ、あの!』
「…何?茂木さん」
「ワークなら出したけど。何か用?」
…っ怖いっ…!
でも…っ!
『そ、その!あ、あんまり山崎さんの悪口を言わないでください…っ!』
私の声がトイレの中いっぱいに響いた
「…え、何?」
「私達、思ってる事言ってるだけなんだけど」
『…っ!』
目の前の人に、鋭い目つきで言われた
「っていうか、茂木さんは分からないと思うけど…胡桃、マジでヤバいからね?」
「ね!茂木さんも騙されない方がいいよ」
『…っ』
私…何も出来ないの…?
好きな人ぐらい…守りたいよ…っ
「茂木さ〜ん!川口先生が職員室に来いって言ってたよ!」
『…えっ?!』
ドタバタと足音がすると山崎さんが慌てた表情でそう言っていた
「…ちょっと胡桃」
「ごめんごめん!もしかして大事なお話してた?」
「…別に」
「ならいいよね!」
山崎さんはごめんごめんと言って私の服の裾を掴んだ
「…茂木さん」
『あっ…うん』
私…山崎さんに守られた…?
山崎さんは無言で私の裾を引っ張りながら廊下を歩いた
山崎さんといつの間にか人気が少ない体育館裏に連れて行かれていた
『あ、あの…山崎さん、川口先生は…?』
「嘘に決まってるでしょ」
『…えっ?』
山崎さんの声のトーンが少し低くなった
「それよりも…アンタね〜!」
「なんっで!アイツらにあんな事言ったわけ?!」
『えっ…?や、山崎さんの悪口を言ってたから…』
「そんなの女子にとっては必要な事なんだから別に良いでしょっ」
『えっ?!』
山崎さんはイラついた表情でそう言った
「アンタがあんな事言ったから次はアンタがたっくさん悪口言われる事になるかもしれないんだよ?!」
『そ、それは…』
後の事を考えていなかったな…
「何で止めたのっ!」
『や、山崎さんの悪口言われてると…なんか心がザワザワして…』
「はぁっ?!」
またもや怒号が飛び交う
『その、山崎さんの悪口を言われてるのが嫌だったからっ!』
「別に、アンタにさほど関係ないでしょっ」
『関係あるっ!』
「はぁっ?!」
「何!アンタ自分で嫌われる方向に向かってる事分かってる?!」
『分かってる!だけどっ!』
だけど…っ!
『嫌なのっ!もうこれ以上山崎さんの悪口や陰口を聞くのはっ!もう嫌なのっ!』
「な、何で…っ!」
『私は!山崎さんのいい所をたくさん知ってる自信があるっ!』
『1年生の時、私をいじめから助けてくれた事っ、馴染めない時率先して声をかけてくれたことっ!』
「…っ」
あの時から私は…山崎さんの事が好きだった…っ!
『だからっ!山崎さんの事なんにも知らない人に山崎さんの事言われている事がとてつもなく嫌なのっ!』
「…っ!」
私は、あの時の心境を全て吐露した
「…ごめん、わたしあんな事言って」
『…大丈夫だよ。私も…ごめんなさい…後先考えてなくて…』
「茂木さんがわたしの事そんなに思ってるとは思わなかった…」
「その…良かったら友達になる?」
…っえ?
『…い、いいの?』
「いいに決まってるでしょ?わたし、友達1人しかいないんだよね〜」
もっといるのかと思ってた…
「駄目なら別に良いんだけど…」
『…なる!』
「いいの?!えぇっと…楓ちゃん…だよね?」
『う、うん…胡桃さん…』
「別にさん付けしなくても良いんだけど…」
『しばらくは胡桃さん呼びにさせて…』
「わ、分かった…」
私は地味な事が相まって友達が全然出来なかった
だけど…好きな人と友達になれて…良かった…
だけど…
この気持ちを…いつか言う事になる…