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「…その黒羽?って人、その後どうなったんかな……」
「さぁ…余命二年って言ってたから、もういないと思うんだけど」
「でもさ、もし生きてたら」
「嬉しいよね」
「……」
「ごめん。急にいなくなって」
「りうちゃんは悪くないよ。」
「そうやで」
カフェの一角。六人の青年が静かに話していた。りうらは窓の外を見ながらため息をついた。となりに座る水色の少年、hotokeはホットケーキを口に運んで顔を綻ばせた。白髪の少年、初兎は膝に乗っているウサギを撫でながら天井を見ている。
「……気まずいな」
青髪の青年、Ifが頬杖をついて言った。Ifの隣にいる桃髪の青年、ないこがコーヒーを飲みながら頷く。
「この後カラオケ行こーぜ」
ロングヘアの青年、悠佑はスマホを確認しながら言った。その言葉に黙って頷く。
「いむくん、こぼしとるで」
初兎はhotokeの頬を突きながら言った。hotokeは皆に「いむくん」と呼ぶように言っているが、いむくんと呼んでいるのは初兎だけである。みんなは「ほとけっち」、「ほとけ」と呼んでいる。
「りうら、あんまり気にしないほうがいいよ。みんなで会えてるんやし、これから楽しいこと考えよう」
ないこの言葉に、りうらは少し元気を取り戻し、笑顔を見せた。
「そうだね…ありがとう。」
「お、サメケーキあるやん!」
「おぉお!かわいい!こさめこれにする!」
「この桜ケーキって何なんでしょうね」
「パイナップルのってる〜」
「なつほんとそれ好きよな」
「みこちゃんここのカフェどこで見つけたの?」
「えーっとね、散歩してたら見つけた!」
隣から声がする。隣の声に耳を傾けながら、りうらは手元のジュースを一口飲む。
「黒羽先輩は何にします?」
「え〜…そうやなぁ〜」
隣から聞こえた名前に息を呑む。まさか、まさか。そっと振り向くとそこにはあの時の…黒羽という名前の人がいた。
「あ……」
話しかけるのはちょっと拙いだろうか。そう思って黒羽の目を見る。黒羽はこちらの視線に気付いたのか、りうらに向かってにっこりと微笑んだ。りうらも微笑むと、再び前を向いた。その時、スマホに着信が来た。
『元気そうやん。よかった。』
これはもしかして。そう思って黒羽の方を見ると、黒羽はにっこりと嬉しそうに笑っていた。