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誰も知らない、高嶺の花の裏側2
第11話 〚心臓が叫ぶ未来〛
その日は、
いつもと変わらない朝だった。
席に着き、
教科書を開いて、
澪は静かに息を整える。
――なのに。
(……なんで)
胸の奥が、ざわついていた。
理由は分からない。
でも、嫌な予感だけが消えない。
◇
昼休み前。
ふと、視界の端に、
りあと海翔の姿が入った。
りあは、
わざとらしく笑って、
距離を詰めている。
海翔は、困ったように笑っているだけ。
(……やだ)
その瞬間。
――どくん。
心臓が、強く脈打った。
次の瞬間、
世界が、ひっくり返る。
◇
視界が、割れる。
音が、遠のく。
――予知。
映像が、一気に流れ込んできた。
・りあが、海翔の腕に触れる未来
・りあが、澪を見て笑う未来
・恒一の冷たい目
・「澪は、俺のものだ」と呟く声
そして――
カフェの中。
向かい合って座る、
恒一と、りあ。
「協力しよう」
その言葉。
(……嘘)
全部、繋がった。
りあは、奪うつもりだ。
恒一は、支配するつもりだ。
――私を。
その瞬間。
心臓が、
ぎゅっと握りつぶされた。
「……っ」
息が、できない。
足から力が抜け、
澪の身体は、そのまま崩れ落ちた。
◇
「澪!!」
叫ぶ声。
床に倒れる直前、
誰かが、澪を強く抱きとめた。
「しっかりして!」
聞き慣れた声。
震えている。
――海翔。
腕の中は、
温かくて、現実だった。
「先生! 誰か呼んで!」
周りが、ざわつく。
澪は、必死に目を開けた。
「……海翔」
その名前を呼んだ瞬間、
胸の痛みが、少しだけ和らいだ。
「大丈夫、ここにいる」
海翔は、
澪の肩を強く抱いた。
「離れない」
その言葉は、
予知じゃなかった。
未来じゃない。
――“今”だった。
澪は、薄く息を吸いながら、思った。
(見えてしまった)
(でも……)
この未来は、
まだ、決まっていない。
心臓が痛むのは、
変えられる証拠だから。
教室の天井を見つめながら、
澪は、初めて強く思った。
――守りたい。
自分の未来も。
この人の隣も。
そして同時に、
誰にも知られない場所で。
別の二人が、
“計画が見られた”ことに、まだ気づいていなかった。