「はっ…!!」
ばっ、と体を起こす。いつの間にかベッドに…。
なにも…思い出せない…。灰色のモヤがかかったようで、分からない。
せっかく”思い出せそう”だったのに…。
何があったんだ、何を感じたんだ?何をしてたっけ…。
なんで分からないんだ、昨日のことなのに!!
灰色のモヤが邪魔して、思い出せそうだったことも思い出せなくなった。
今日はもうグダグダしていられない。
着替えもせず、洗面所にも寄らず、リビングのドアを思い切り開けた。
───やっぱりだ。
何か、気配がする。誰かの気配が。
同じ背丈くらいの2人の気配。…がした気がした。だが、一瞬で消えてしまう。
だが、次の出来事で確信に変わる。
『…ぐ───。』
「っ…!!」
誰かの声がした。前聞いたのとは違う。少し高めの甘い声。
前はトースターの音かと思っていたが、やっぱり、あれは声だったんだ。
「誰?誰なの…?」
必死に2人に話しかける。返事はなかった。
「君たちは誰?なんて名前なの?」
元々、同じ日を繰り返してると思ってた。でも、私の選択次第で違う出来事が起きたんだ。
それに気づかせてくれたのは…。
「君たちなんだよね…?」
気配は動かず、景色も変わらない。私は、思い出せない。
“なにか”を忘れてる。
と、突然気配が動き始めた。
気配は寝室でも洗面所でもない、今まで開けたことのない部屋。そこに行き着いて、2つの気配はピタリと止まった。
ここに、何か思い出せるヒントが…?
ドアノブに手をかける。緊張で手が震えながら、ゆっくりドアを引く。
部屋の先には───、