全ての始まりは何の変哲もない日のことだった。
いつも通り家でスマホをいじりながらゴロゴロしていると、SNSで少し気になる投稿が目に止まった。
「『今日で世界は終わり、全人類が滅びます。これは誰にも変えられない運命です』?」
よくある未来予知のデマだろうか。いわゆる宗教系?
ただ、こういうのはあっても数ヶ月後とかで、明確に「今日」と断言するタイプは珍しい。
試しに返信コメントを見てみるとやはり誰も信じていない。
「ま、そりゃそうだ」
仰向けにベッドに横たわる。
『今日世界が終わるなら何をする?』
よくある質問だが真剣に考えたことなんてない。まあ考える機会もないし。
まぁ、自分の回答としては”何もしない”だ。こんな平凡な自分は、いつも通り過ごしてあっけなく死ぬのだろう。
、、、ということで、真昼間だが寝ることにした。運がいいことに今日は休日。たまにはゴロゴロしてもいいかな。
天井を見つめながら、こんな平和な世界がずっと続くのであればなんでもいいや、なんて適当に結論づけて眠りについた。
「ふあぁ、、」
欠伸をしながら起き上がる。今は何時だろうか。時間を確かめようとスマホを見ると夕方の5時。よく寝た、なんて伸びをしながら窓の外を見て絶句した。
屋根が崩れて潰れている住宅、折れて道を塞いでる電柱、見るに堪えない形をしている車。
「ひッ、、」
急いで玄関に向かう。そしてドアを開けて目に飛び込んできた景色は、窓から見た景色と変わらない、悲惨なものだった。
「ゆ、め、、、?」
そんな訳ない。頭の隅っこの冷静な自分がその考えを否定してくる。
鼻腔をくすぐるのは、美味しそうなご飯の匂いなんかじゃなく、何処からか漏れたのか顔を顰めたくなるようなガスの匂い。
この時間ならば近所の公園で遊んでる子供たちのはしゃぐ声も聞こえなくて、強い孤独感に苛まれた。
こんなリアルな夢、あるはずない。
「と、とりあえず人を探さないと」
自分のものとは思えない震えた声が出る。
竦んで言うことを聞かない足をどうにか動かし歩く。
でも、近所の家にも、公園にも、学校にも、コンビニにも、病院にまで誰もいない。避難所に避難しているのではとも思い探したが人っ子一人居ない。
頭の中にあの投稿がふと浮かんだ。
『今日世界が滅ぶ』バカバカしいと思っていたが、もし本当だったら?
いや、そんな訳ない、きっとみんな隠れてるだけで、無事で居るはず。
一人暮らしだから親がどうなってるのか気になり電話してみたが繋がらない。
「誰かいないの、、?」
草むらで蹲ってこぼした声に答える声は無い。
孤独は嫌いだ。ひとりぼっちはいやだ。
「だれか、、、」
いつの間にか寝ていたのか気づいたら朝だった。
こんな状況でも空は相変わらず綺麗で、思わず睨む。
いつまでもこうしちゃ居られない。
本当に自分以外の人類が消えたのか、もしかしたら自分みたいに例外が居るかも知れない。
なんで自分だけ消えなかったのか。一緒に自分も消えていればこんな思いにならなかったはずだ。
この先ずっと1人ならいっそこのまま死んでしまいたい。
はあ、と溜息をつくと視界が急に暗くなる。
上を見ると、青い瞳がぱちりと瞬きした。
「ねえ、どうしてこんな所にいるの?」
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