テラーノベル
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「私ね……」
天宮ちぐは、震える声で続けた。
「夢の中で、あきちゃんが死んでたの」
あき「…………」
あきは何も言えなかった。
「私が……死んでた?」
ちぐ「うん」
ちぐはぎゅっと手を握る。
「大きなお城みたいな場所だった」
「床には血があって……」
「あとくんも、ぷりちゃも、けちゃも、まぜたんも倒れてて……」
あき「…………」
ちぐ「それで……」
ちぐの顔が青ざめる。
「私の前に、あきちゃんが立ってたの」
「……私が?」
ちぐ「うん」
「でも、あきちゃんは笑ってた」
あき「……笑って?」
ちぐ「泣きながら」
「…………」
ちぐ「『これで全部終わりね』って言って……」
「そのあと――」
ちぐが息を呑む。
「黒い羽根を持った男の人が、あきちゃんの後ろから現れたの」
あき「……何をされたの?」
天宮ちぐ「わからない」
「そこで夢が終わったから」
「…………」
部屋に沈黙が落ちる。
あきは窓の外を見る。
夜の西園寺家。
静かすぎる。
「そんな未来……」
あきは小さく呟いた。
「絶対に嫌」
ちぐ「……え?」
西あき「私は死にたくない」
「それに――」
あきは振り返る。
「あなたたちにも死んでほしくない」
ちぐが目を見開く。
「…………」
あき「だから」
あきは机の上の黒い羽根を見る。
「その未来を変える」
天ちぐ「……!」
あき「ゲームのシナリオなんて、もう関係ない」
「私は――」
一瞬だけ、言葉に詰まる。
そして。
「……この世界で生きるって決めたから」
ちぐが微笑む。
ちぐ「うん」
「私も手伝う」
西園あき「……どうして?」
天宮ちぐ「だって、友達だから」
「…………」
あきの頬が少し赤くなる。
あき「……誰が友達よ」
ちぐ「え?」
あき「まだ、そこまで仲良くなった覚えはないわ」
ちぐ「ふふっ」
あき「何よ」
ちぐ「でも、嬉しい」
「…………」
あきは顔を逸らす。
「……変な子」
* * *
翌朝。
学園。
「おはよう、あきちゃん!」
天宮ちぐが手を振る。
あき「……おはよう」
ぷり「おっ、あきも来た!」
けちゃ「おはようございます!」
まぜ「……おはよう」
あと「昨日は大丈夫だった?」
あき「ええ」
あと「何かあったら言って」
あき「……わかってるわ」
いつものように返事をする。
けれど――。
あきは、みんなの様子を見ながら思った。
「この人たちを守らなきゃ」
ゲームの中では、攻略対象。
ヒロイン。
悪役令嬢。
そんな関係だった。
でも今は違う。
「……仲間」
そう思った瞬間。
「――西園寺さん」
「!」
聞き覚えのない声。
あきが振り返る。
そこには――。
黒髪の男子生徒が立っていた。
制服は同じ。
けれど、見たことがない。
あき「……誰?」
男子生徒「初めまして」
男子生徒は微笑む。
「僕は――黒羽零」
「…………!」
あきの心臓が跳ねた。
「黒羽……?」
男子生徒「どうしたの?」
あき「……何でもないわ」
嘘だ。
そんな名前。
ゲームには存在しない。
なのに――。
零の胸元から、一枚の黒い羽根が覗いていた。
「……!」
あきは思わず後ずさる。
黒羽零「西園寺さん」
「君は――」
零が静かに微笑む。
「この世界が、ゲームの世界だと思っているよね?」
「…………!」
あきの顔から血の気が引いた。
誰にも話していない。
ちぐにも、まだ全部は話していない。
それなのに――。
あき「……あなた」
黒羽零「やっと会えた」
「…………」
零が一歩近づく。
「転生者」
その言葉を聞いた瞬間。
あきの背後から――。
ちぐ「……あきちゃん!」
ちぐが駆け寄ってくる。
あとも警戒するように零を見る。
あと「誰だ、お前」
零「……天宮ちぐ」
ちぐの名前を知っている。
ぷり「なんでちぐの名前を知ってる?」
零「もちろん知ってるよ」
零は笑う。
「この世界の主人公だから」
「…………!」
ちぐが固まる。
零はさらに続けた。
「そして――」
その視線が、あきへ向く。
「西園寺あき」
「君は本来――」
「この物語から消えるはずだった」
「…………」
あきの手が震える。
黒羽零「でも、君は生き残った」
「シナリオを変えた」
「だから――」
零の瞳から笑みが消える。
「世界のほうが、君を消しに来る」
――その瞬間。
校舎中に、鐘の音が響いた。
キーン――。
生徒たちが一斉にざわめく。
ちぐ「……何?」
あと「警報?」
窓の外を見る。
空が――。
真っ黒に染まっていた。
あき「……嘘」
空から、無数の黒い羽根が降ってくる。
一枚。
また一枚。
校庭が黒い羽根で埋め尽くされていく。
そして。
校舎の巨大な時計が――。
本来ありえない時刻を示していた。
『第六話』
『終了』
『第七話――強制開始』
「…………!」
あきは息を呑む。
黒羽零「さあ」
零が笑った。
「物語を始めようか」
その瞬間――。
校舎のすべての扉が、一斉に閉まった。
――閉じ込められた。
あきたちは、誰も知らない「第七話」の中へと引きずり込まれていく。
そして。
誰も気づいていなかった。
黒羽零の手のひらに握られていた黒い羽根が――。
ほんの少しだけ、赤く染まっていたことを。
ぬい.ᐟ.ᐟ
終了.ᐟ.ᐟ
またまた新作作りたいんだけど.ᐟ.ᐟ
リクエストください.ᐟ.ᐟ
幼なじみ系とか生徒会長系とか.ᐟ.ᐟ
よろしくお願いします.ᐟ.ᐟ
おつむぅ.ᐟ.ᐟ
コメント
7件
ちぐちゃんの夢の話から始まって、一気に不気味な空気になったね……「泣きながら笑ってたあきちゃん」がすごく印象的。あきが「この世界で生きる」って決めたシーン、胸が熱くなったよ。黒羽零って誰? 転生者って呼ばれて、世界に閉じ込められるラスト、めっちゃ続きが気になる…! 新作も楽しみにしてるね🌙
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