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「り、律さぁん……」
カウンターに突っ伏しかけながら、華が顔を上げた。
とろんとした瞳が、まっすぐに律を捉える。
「ど、どうしたんですか」
律は眉をひそめつつも、グラスを置いて彼女を支えた。
「……律さんは、どうやったら……私のこと好きになってくれるのお……!」
ほとんど寝ぼけたような声。
周囲の賑やかな笑い声に紛れてしまいそうな小さな呟きだったが、律の耳にははっきり届いた。
胸の奥が一瞬にして熱を帯びる。
(……もう、十分好きなんだけどな)
律はグラスの縁を指でなぞり、小さく吐息をもらした。
「……もう好きだけどな」
声は華には届かないほどの小ささ。
けれど、その言葉は律の胸の奥から零れ落ちた、本当の気持ちだった。