僕と影山、日向の他に入る一年の名前を聞いてから、僕の心にはそのことしかなかった。
それは、僕の中で特に懐かしいと思う中の2人。
まさかまた会うことになるなんて、思いもしなかった。
バレー部に入ってるということは、彼らは「あの出来事」を乗り越えているのだろうか。
進む彼らと逃げた僕。
そう思うと、僕は彼らに会う資格はないんじゃないかと思ってしまう。
(……早いけど、学校に行くか)
朝練まではだいぶ時間があるが、いざとなったら荷物を置いて体を動かしてたらいいだろう。
「ふぅ。到着、っと。」
ふと、僕の耳にボールとシューズの音が届いた。
誰かいるのか?でも、朝練は7時からのはず。
今の時間は5時。さすがに…
「……いや、まさかな…」
昨日、田中先輩の様子がなんだか変だった気が……
ほぼほぼの確信を持って、僕は体育館に入った。
「おはようございます…。」
「げ!お前もかよ!?」
「……はは、なんかすいません。」
そこにいたのは予想通りの3人と菅原さんだった。
「僕はなんとなく、早めに家を出てきただけです。」
「早めで、2時間前に来るとかお前もなかなかだな笑」
……確かに、言い訳としてちょっとあれだったかな。
「僕も練習入っていいですか?」
「おお!一緒にやろうぜ!!」
日向は朝から元気だなと思っていると影山が声をかけてきた。
「……お前、いつから」
……これはバレー歴を問われてる?
「えっと、小学校から」
「ポジションは」
言い方がいちいちきついな。
「基本的にどこでも」
「なら、トス練付き合え」
「う、うん。」
そう言うと日向が目を輝かせた。
だが、日向は菅原さんとレシーブ練習からみたいだ。
僕も急いで準備にとりかかった。
田中先輩が最初にスパイクをする。
やっぱりパワーはあるなと思っていると僕の番になった。
トスが上がる。高さを見て、助走を始める。
そして、ジャンプ。
「……ふっ、!」
「げ!!」
「うぉぉ、!?」
「うぉぉぉぉ!!」
うん。久しぶりにしてはまあまあかな。
……なんか注目されてるな。
そんなにすごいことしてるつもりはないんだけどな。
「……お前、中学は」
「?音駒だけど?」
「……そうかよ」
なんか微妙な反応されて僕は反応に困る。
「なぁ!おれもスパイク打ちたい!おれにもトス上げてくれよ!」
「………………」
あ、これはやばいやつだ。
影山とは知り合ってからそんなに時間は経ってないけれど分かる。
「僕」だからこそ分かってしまう。
………喧嘩してしまう。
そう思っている間にも日向は影山に話しかける。
「ね、ねえ、日向。」
「…嫌だ。」
……やっぱりかよ。
そう思っているうちにも会話は続いていく。
「レシーブあってのトスと攻撃だ。レシーブ(それ)がグズグズのくせに偉そうに言うな。」
確かに、確かにそうだ。
それは正論だ。だが、言い方ってものがあるだろ…
これ以上影山が何か言う前に止めないと!
そうじゃないといろいろとやばくなる気がする。
「か、影山。その辺で……」
「でも今のお前が、」
「『勝ち』に必要だとは思わない。」
「ーーー!」
「っ、!!」
それは、僕の心の中にとても響いた。
理由は言わずもがな分かる。
……僕が1番分かってる。
その日は日向と影山の喧嘩で早朝練は終わった。
その早朝練が終わったあと、田中先輩から澤村さんには言うなと念押しされた。
……やっぱり、許可もらってないんだな。
そんなことを考えながら僕は朝練に参加した。
その日の田中先輩は、いつにも増して澤村さんにびびりながら練習をしていた。
……そんな態度とってたらバレるんじゃないなかなぁ。
菅原さんは菅原さんでそんな田中先輩を笑いながら見てるし…
菅原さんも性格が悪いなぁ。
……でも、この景色を見ているとつくづく思う。
この部は怒らせちゃダメな先輩がいるけれど。
ほんとに、雰囲気のいい部活だなぁと、僕は改めて思うのだった。
コメント
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めっちゃ(*´꒳`*)ヨキヨキ