ポン、バン!バシッ!
……おいおい、やばいな。これ、かれこれ25分はやってんぞ。
日向はもともと運動神経いいんだろうなって思ってはいたけど…
そんなことを考えていると
「そろそろ限界だろ!」
「もうこのくらいで」
「まだっ」
「ゼエッ、ボールッ……!ふぐっ、ハァ、ゼエ、落としてない!!!ハァ」
「!」
日向……。
僕は今までそれなりに結構な強豪と試合をしてきた。
そんな奴らを見てきた中でも…
「ぬー、!」
苦しい、もうやめたい、そう感じているだろうに
そこから、もう一歩
ボッ!
(こいつは、別格だ)
「………」
ストッ、フワッ
それを感じ取ったみたいに影山はトスを上げた。
一緒にいた田中先輩と菅原さんはトスにびっくりしてる。
と同時に日向が打てないだろうと思っているみたいだけど…
「ーーー!!」
日向はめっちゃ笑顔だ。
それにも先輩らは驚いている。
そんな中、僕はぽつりと、
「……だよな、日向。ニカッ」
「ふぁ〜〜。」
「眠そうだなお前ら」
……あの2人隠す気があるのかな?
なんとか誤魔化したみたいだけど、絶対バレてる気がする。
そして、その時は来てしまった。
「宜しくお願いしまぁーす!」
「お願いします!」
僕にとって懐かしくて
もう一回会いたいと思っていた顔。
その2人は僕には気づかずに先輩と話している。
「そうだ。お前らの他にも入る一年がいるんだ。」
「え、そうなんですか?」
「おい!星月!」
呼ばれてしまった。
「星、月、?」
それは彼らにとって懐かしい名前だろう。
「……久しぶり。蛍、忠。」
「え、!なんで樹がいるの!?」
「え?なんだ、お前ら知り合いか?」
「……小学校が同じなんです。」
大丈夫だろうか。
顔は平静をよそおっているが、心の中では怖くて仕方がない。
……2人にまで拒否されると僕はどうなるか分からない。
そう思いながら僕は2人の返答を待っていた。
「うわぁ、久しぶり!こっちに戻ってきてたんだね!言ってくれればよかったのに。」
「う、うん、ごめん。言う暇がなくて…」
「そうだったんだね。また会えて嬉しいよ!」
どうやら、忠は喜んでくれているようだ。
思った通りと言えば思った通りだ。
忠はとても優しいから。
僕の心配は……
「ひ、久しぶり、蛍。」
「………」
無視されてる……。
「け、蛍?」
「…キャプテン、もう練習始まりますよね?」
「あ、あぁ。」
「なら準備するんで。山口、行くよ。」
「え、でも……」
……苦しい。でも、何か言わないと。忠が心配する
「……いいよ、山口。あとでまた話そう?」
「……わかった。待ってよ、ツッキー!」
……彼らの姿を、僕はただ突っ立って見てるしかなかった。
何も言えない。
何かを言おうとすると、僕が崩れてしまいそうだから。
「……けっ!なァ〜んか気にいらねーな。さっきの新一年!」
「お前初対面の奴大体気にいらねぇじゃん。アレだろ、そういう習性だろ」
「”習性”って…」
いつもは呆れる会話だけど、僕は何も思えなかった。
(だよな、蛍が僕のことをよく思ってるわけがない……)
結局、そのあとは忠と蛍と話すのは無理だった。
また、蛍から拒絶されるのが怖かった。
家に帰ってきても、そのことが頭を巡る。
「…ダメだ。走りに行こう。」
やっぱりこういうときは走るに限る。
僕はさっさと準備して家を出た。
「ふっ、はっ、はっ」
走ってると余計なことを考えないで済む。
だからか、最近はよく走るようになった。
しばらく走っていると、なにやら騒がしい声が聞こえて僕は速さを緩めた。
「この声って、っ!」
そこには絶望的に相性が悪いであろう2人が接触していた。
だよな、影山たちのことを聞いて蛍が見に行かないわけがない。
「……止めに行かなきゃだよな。」
そう言って、僕は重い足取りで近づいていくのだった。
コメント
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はよ続き読みたいわ〜((o(。>ω<。)o))