テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
⚠️学パロ⚠️
彼の、風に靡いて爽やかな匂いがする髪が好き。
「はははっ、たしかに」
彼の、笑った時に出る八重歯が好き。
「んー?あー、そうそう。」
彼の、声が好き。
「…へ?俺の事ずっと見てる人がいるって?どこ?」
あ。こっち向いた。
思わず、目を逸らす。
「…。……うーん、思い当たる子はいないけどね。」
目が合った時、少し笑う彼が好き。
全部好き。
彼をずっと見つめていたら、鐘の音が鳴る。授業が始まった。
彼は授業が始まると同時に席に着く。
彼の席は私の隣の席。そう、学活委員の私が選んだ席。
「…い………お…い………おい………」
「おい、日森!」
『…あっ!…は、はい。』
ぼーっと彼の横顔を見つめていたら、先生に呼ばれている声が届かなかったらしい。でも、そんなに彼の顔がかっこいいんだって分かる。
「日森、早く読め。」
『あっ、えっ、えっ…と、』
(ここだよ、日森さん。)
どこのページのどこを読めばいいかわからなくて戸惑っていたら彼が小声で自分の教科書を見せて指を指してくれる。好き。
『あ、ありがとう…!………えっと、〜〜………』
「よし。次は…」
(ありがとうございます…渡会くん。)
(ふふ、それぐらいいいよ。もっと頼って。)
あ、八重歯みえた。
思わず、腕を伸ばす。
(?日森さん?)
(あっ…いや…ごめんなさい。何もないです。)
なんて無礼なことを彼にしようとしたんだ。
素早く手を引っ込めて身を縮こませる。
びっくりした彼も、好き。
放課後になって、次々教室から生徒が去っていく。教室には学活委員同士の私と私の幼なじみで2人っきり。
「ねええぇ瑠花ぁ。俺もう疲れた〜。」
『ダメ。もうすぐ終わるから。…湊ちょっとしかしてないじゃん。』
「えー、俺も頑張ってるし!…てか……瑠花、最近ひばとどーぉ?」
急な質問に、唾を器官に通してしまう。
『けほっけほっ…!ちょっと、急に変な質問辞めてよ。………別に、進展ないよ。』
「進展ないって言うか、進展しようとしてないでしょ。俺がせっかくひばに言ってるのに〜」
『はっ!?な、なにをっ!?』
机に身を乗り出して幼なじみに問う。
「ちょっとちょっと、落ち着いてよ笑」
『なんて言ったの!?』
「んー、瑠花がひばと話したいって言ってるよ。って。」
『……はぁ〜〜………。良かった…』
大きなため息をつき、机にねそべったら、寝そべった私の髪を指に絡めてくるくると遊びはじめた。もしかして、からかおうとした?
「え、良かったの?」
『好きってことを伝えたのかと…。』
バンッと、扉が強く開く。
「……二人で何してんの?」
『渡会くっ、!?いつからっ』
彼が、急に教室に入ってきた。
聞かれていたらどうしよう。
机にバンッと勢いよく手を着き、私ではなく幼なじみをじーっと見つめる。その瞳には圧が籠っているのが私にも伝わった。怖い彼も好き。
「あー…。俺帰るわ〜。瑠花とひば、また明日ね?…あと、俺ら普通に学活の仕事してただけだよ。」
「!!!…そっか、ありがとう教えてくれて。」
二人でコソコソ話してる。…聞こえない。
2人に近づこうとしたら、湊に顔の前に手を向けられ、止められた。
「じゃ、またねおふたりさーん。」
『あ、みなとっ、……』
湊は、教室のドアをガラッと開けて、素早く去っていった。
学活の仕事、まだ終わってないのに…。
「…学活のお仕事、お疲れ様!5時過ぎまでするなんて先生も酷いね〜。わっちさんも、仕事終わらせずにすぐ帰って…。」
幼なじみが座っていた席を、次は彼が座る。
目の前の席。授業中とは違う席。
彼の正面が、良く見えた。好き。
『あ、ありがとうございます…。』
話しかけられて思わず俯いてしまう。目の前にいる彼が眩しくて、よく見れない…のもあるけど。
「…その敬語、やめてみてよ。うちら同クラっしょ?」
『!?そっ、そんな、恐れ多いです…』
急な提案にびっくりして、体が強ばった。
「ははっ、なんでよ。試しに、俺の下の名前呼んでみて?」
この空気に緊張して自身の両指を絡めさせていじりながら、恐る恐る頭を上げて目を合わせ、口を開く。
『っ…、雲雀、…』
「!!!」
無言が続く。気に入らなかったんだ。その恥ずかしさで再び俯いてしまう。
なんという醜態。恥ずかしすぎる。
『ごめんなさいっ、やっぱり私は無理です…!』
立ち上がって素早くドアの方に向かおうとすると、強く腕を掴まれた。
『え、』
「待って…。やっぱり、敬語外して欲しい。…それと、これから雲雀って呼んで?」
『だからっ……、…!?』
腕を引き剥がそうとしたら、犬のような瞳で甘えてきた彼が私の目に写った。
それ、反則。好き。
『…たまに、でちゃうかも、しれないけど…』
「うん、いいよ。」
優しい笑顔でこちらを見ると、掴む腕の力を緩めた。
『じゃあ…ひば、り。………また明日。』
「ん!!………あ、学活の仕事終わらせなくていいの?」
『あ。』
すっかり忘れていた。
その後、雲雀と共に、緊張しながら学活の仕事をやっとのことで終わらせた。
「はーっ、やっと終わったね。」
『ごめん、手伝ってくれて。』
「ううん、瑠花とならへーき。」
『えっ!?!?』
急な瑠花呼び?
な、なんで、
思わず、声が出る。
「なんでって…。雲雀って呼んでもらってるんだから同じように下の名前で呼ばないと、でしょ?」
『…そ、なんだ。そういうものなんだね…』
陽キャパワーすごい。
…てことは、雲雀って呼ぶ女の子沢山いるし、その子達にも名前で呼んでるって、事?
そう思うと、ズキズキと針が刺さったかのような痛みが胸にきた。
嫉妬。
「じゃ、帰ろー」
『…あ、うん。ま、また明日』
雲雀に背を向け、教室のドアに手をかける。
すると、再び腕を掴まれた。今度は優しめに。
「え?一緒に帰るんじゃないの?」
『え?』
驚いてそのまま後ろを振り向く。
すると顔の距離がそこまで近いとは思わなくて。コツンと、私の額と彼の額がぶつかって。
その距離感に耐えきれず私は目を逸らす。すると、彼は私の頬を掴んで無理やり目を合わせようとしてきた。あ、ちょっと眉が下がってる。可愛い。好き。
『なっ、え、』
「帰ろ?」
犬みたいにクゥン、とでも言うように私を見る。そんな顔されたら、肯定するしか選択肢はないじゃないか。好き。
『………、分かった。』
「!やったー!じゃ、帰ろ!瑠花のこともたくさん聞きたいしね〜」
『そ、それ、どういう意味…!』
「だってうちら全然話したことないっしょ?お互いのこと全然知らないじゃん。」
私は、雲雀のことたくさん知ってるんだけどね。
『わかっ…た。』
「ん!」
そう言って、二人で横に並んで教室から出ていった。