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雨音で目が覚めた朝。
カーテン越しに見える空はどんより灰色で、窓を打つ雨粒が規則正しくリズムを刻んでいる。
ソファに寝転がってスマホをいじっていた宮侑は、ちらりと時計を見てから、隣で床に座ってミニカーを走らせている🌻に目を向けた。
「なぁ🌻、雨の日って嫌いやろ?」
「ううん!」
即答だった。
「みずたまりあるもん!」
「……せやろな」
嫌な予感がする。
しかし同時に、侑の頭の中には一つの考えが浮かんでいた。
——ちょっと散歩くらいなら、ええよな?
ママは今、買い物に出ていて夕方まで帰らない。
しかも🌻は朝から妙に元気が有り余っている。
「なぁ、長靴履いて、ちょっとだけ散歩行こか」
「ほんと!?!?」
「ちょっとだけやで!?濡れたらあかんからな!」
🌻はミニカーを放り出して玄関へ一直線。
黄色い長靴を履き、レインコートを着て、フードまで完璧。
「じゅんびできた!!」
「早すぎやろ」
侑も仕方なく傘を持ち、二人で外に出た。
⸻
雨の日の住宅街は静かで、車の音も少ない。
水たまりがあちこちにできていて、🌻はそれを見るたびに足を止める。
「パパ……」
「……あかんで?」
「ちいさいやつだけ」
侑は一瞬迷ってから、指を一本立てた。
「一回だけな」
「やったぁ!!」
次の瞬間。
「えいっ!!」
ばしゃっ!!
小さな水たまりとは思えないほど水が跳ね、
🌻のズボンの膝から下は一気に濃い色に変わった。
「……おい」
「つめたい!!たのしい!!」
🌻は笑いながら、次の水たまりを見つけて走り出す。
「待て待て待て!!」
止める間もなく、
ばしゃん!
ばしゃばしゃ!!
二回、三回。
「🌻!!もっかいって言ってない!!」
「みず、にげない!!」
意味不明な理論を叫びながら、🌻は全力で跳ねる。
その水しぶきは容赦なく侑にも飛んできた。
「うわっ、冷たっ!!」
避けようとして後ろに下がった瞬間、
侑の足元にも立派な水たまり。
「……あ」
ずぼっ。
「……最悪や」
靴の中に水が侵入し、靴下が一瞬で終わる。
🌻はそれを見て大爆笑。
「パパも!パパもぬれた!!」
「笑うな!!」
そう言いながらも、侑の口元は緩んでいた。
二人で並んで水たまりに立ち、
雨に打たれながら笑っている姿は、傍から見れば完全に同類だった。