翌日。
昨日と同じ場所に行くと、彼女は居なかった。
「 なぁんだ。」
今日は学校を休んでるのかな、と考えた。
とりあえず、ここに来たからイヤホンをつけてご飯食べよう。
この感じが本当に落ち着く。
あいにくの曇りでちょっとだけテンションが下がる。
でもたまには曇りの日にここで食べるのも悪くないと思った。
「 んわっ!!! 」
そんなことを思っていたら、後ろから片耳のイヤホンを取られる。
思わず声を出して驚いてしまった。
[ ごめん、遅れて。]
昨日初めて聞いた声。俺の大好きな声がした。
「 大丈夫!!! …… 」
と、彼女の姿を見ると、なんとなく、髪の毛が濡れているように見えた。
[ ちょっと、ノート今日提出なのに出てない人いてさ。
— ずっと聞いてたけどこの曲めっちゃいい曲。こんな曲聞くんだ。笑 ]
「 ….. 」
さっきから髪の毛にしか目がいかない。
昨日結んであったツルツルの1つ結びが、今日は下ろしてあった。
そして、髪にツヤもなかった。
濡れているようにしか見えず、気になって仕方がなかった。
[ どうしたの…? ]
「 …. あ、ごめん。 ノート提出、声掛けしておこうか? 」
[ ううん。大丈夫。]
「 そう..? 」
「 ねぇ、髪の毛… 触ってもいい? 」
[ …. なんで?笑 ]
「 今日、下ろしてるから。気になっちゃって。」
[ いい、けど、]
やっぱり触ってみると、濡れた感じが手に伝わる。
保体終わりだったというのもあり、タオルを持っていたので、
そのタオルで乾かそうと思った。以外に汗はかかなかったから、汗は付いてない。
[ やめてっ、!!! ]
乾かそうとすると彼女が声を荒らげた。
「 ごめん。」
[ … こっちこそごめん、]
「 風邪、引いちゃうよ。」
[ 大丈夫、]
「 俺だったら、気になってる子が風邪で休んだら嫌だけどなぁ。」
[ …. からかってる..? ]
「 ほら。おいで。乾かしてあげるから。」
[ お願いします、]
「 はぁーいっ!! 」
風邪で休まれたら家知らないから看病しに行けないな…
なんて思いつつ彼女の髪の毛を丁寧に乾かしていく。
「 痛くない? 」
[ うん。]
「 かゆいトコアリマスカ~? 」
[ …ない。]
「 キモチイデスカ~? 」
[ …ふふっ笑 ないです。笑 ]
「 あははっ!!笑 今日の笑顔頂いたわ 」
[ 早く乾かしてください。( 照 ]
「 ( 顔真っ赤じゃん。笑 ) かわい。」
[ へっ..!? ]
「 あっ、」
もう、頭の中がぐちゃぐちゃで、
間違えて思ってることと口に出す言葉を逆にしてしまった。
少しだけ火照っていた彼女の顔はもっと赤くなり、
ふたりで顔を赤くしていた。
[ …チャイム鳴っちゃう…ね!! ]
「 サボれば大丈夫 」
[ そんなことできない ]
「 まだ髪乾かし終わってないけど、」
[ もう大丈夫 ]
「 風邪ひくよ 」
[ いいの。]
「 じゃあ、家教えて 」
[ なんで笑 ]
「 看病しに行く 」
[ 母親居るから大丈夫。]
「 あっ、帰り一緒に帰ろ。」
[ 私の家そんな知りたいの?笑 ]
「 うん。LINEも交換しよ。」
[ それはいいけど。]
「 まじ!!!!! やった!!!! 電話出来んじゃん!!! 」
[ いやいや笑 ]
そんな会話をしていると、昼が終わるチャイムが鳴った。
[ …じゃあ行くね。明日。]
「 だめ 」
[ お願い、]
「 しかも明日じゃない。帰り一緒に帰る。」
[ まって、ほんとにだめ ]
「 あ、保健室行く? いや、それは嫌だな… 」
[ 行かないと….、]
「 ….. なんかされてんの? 」
[ なんもない、]
「 話すまで離さないよ。腕。」
[ …. ごめんなさい、ほんとに話せない。お願い、離してください.. ]
「 … おれんちだったら話せる、? 」
[ そんなんじゃない、]
「 一緒には、帰ってくれる…? 」
[ …. ]
「 人いないとこ、知ってるけど。」
[ 今日だけ、]
「 やった。じゃあここで待ってる。」
[ それじゃあ、]
彼女は、生き急ぐようにこの場所を走り去って行った。
嫌われそうで怖かった。
ほんとに踏み込んで大丈夫か。
次の時間、嫌いな教師担当だし、サボるつもりだった。
いつの間にか空は晴れていて、心地いいそよ風が吹いていた。
貴女は一体、なんの鎖に縛られているのか教えて。
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