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#旧国
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弥生
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#ナチソビ
独り身 / 匿名
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コメント
1件
みぅ🤍🥀です。 めちゃくちゃ重くて、でもすごく綺麗で……胸が痛くなりました。勝ったはずのヒーローが、消した相手に囚われて「寂しい」って泣くところ、たまらなかったです。星が流れ星になったラスト、泣きそうになりました。そういう表現、すごく好きです。
今はいいんだよ。
MIMI様
世界の頂点に立つということは、
常に光を浴び続け、見られ、
そして完璧を続けるということだ。
誰かの手本となり、見本となる。
正義のヒーローになる。
冷戦という名の
長い夜が明けたあの日から、
俺には勝者としての
重圧がのしかかった。
世界は俺をヒーローと呼び、
夜空に浮かぶ星のように
常に眩しく、
正しく、
輝き続けることを求めてくる。
だから、今日も、
俺は鏡の前で、自分の口角を指で無理やり押し上げる。
ほら、
大丈夫。
いつも通りの、完璧な笑顔だ。
だけど、どうしてだろう。
最近、朝が来るのが狂いそうなくらい怖いんだ。
ベッドから起き上がるだけで、身体が鉛のように重い。
強くて完璧なヒーローを演じるための努力なんて、本当はとっくに限界を迎えている。
誰にも言えない弱音だけが、吐き出せない泥のように胸の奥に溜まっていく。
俯くことしかできないような、そんな情けない日々の狭間で、俺はいつもあいつの夢を見る。
ソ連。
俺の唯一のライバルであって、
俺がこの手で現界の表舞台から引きずり下ろした、
冷徹で不器用な赤。
『ーーーーーАмерика』
「ッハ、」
目を覚ます。
ふと、鏡が顔をあげると目に映る。
映った顔は、青ざめていた。
「……っ、、はは、あははは! 」
「最悪な目覚めだ!!なんで、なんで、勝ったはずの俺が、、、こんなに惨めな顔になるんだよ!!!」
「なあ、、、誰か教えてくれよ、、」
「誰、でもいいからさ、、」
「俺の隣に、立ってさ、、」
「、、はは、っはは、、」
誰もいない冷え切った自室で、
誰も聞いていない空間に向かって声を上げて笑った。
笑い声は、静かな部屋に虚しく響いて、すぐに消える。
あいつが消えて、
世界は平和になったと誰もが口を揃えて俺を称賛する。
わからない、
俺に媚びてるだけかもしれない。
だけど俺にとっては、色のない、ひどく退屈で空っぽな世界だ。
かつてお互いに牙を剥き出しにして、
必死に相手を破滅させようと競い合っていたあの狂気じみた日々。
あの狭くて暗い冷戦の時代の方が、俺は今よりもずっと息がしやすかった。
皮肉なもんだよな。
敵であるあいつの存在だけが、俺をヒーローたらしめていたんだから。
あいつがいたからこそ、俺の笑顔には意味があったんだ。
なんとなく、親父の兄、おっさん(大英帝国)の気持ちが分かる気がする。
俺は、平和な世で生きるのが難しい性格なのだろうか。
それでも、
周りの連中は、俺に助けてくれ、お前が世界を回してるんだ。と容赦なく光を押し付けてくる。
だけど、今の俺にはそれが、どうしようもなくしんどくて、吐き気がする。
明日なんて、
もう来なければいいのに。
そしたら、この息苦しいトップの座から降りて、
どれだけ楽になれるだろう。
胸の奥が引きちぎられるように痛むのは、勝利の果実が砂のように空っぽだったからじゃない。
お前を消し去ったこの両手が、
今さら猛烈にお前を欲して、震えているからだ。
「寂しいんだよ、ソ連。」
「お前がいない今日が、どうも寂しくて……笑っちゃうくらい眠れないんだよ、。」
暗闇の中で、また無理やり唇の端を吊り上げてみる。
その瞬間、視界の端がじわりと歪んだ。
瞳の奥から溢れ出そうになる熱い塊。
それは、ヒーローが絶対に見せてはいけない、ものだ。
頬を伝おうとするそれを、俺は慌てて手の甲で拭った。
ちがう。これはなみだなんかじゃない。ぜったい、、にちがう。
そう、ヒーローの俺が泣くはずがない。
泣くのは許されない。
今更戻れない。
周りの国が何と言おうと、お前がどんな独裁者だろうと、そんな評価はどうでもよかった。
俺はただ、俺の前に立ちはだかって、
冷たい瞳で俺を睨みつけていたお前のままでいてほしかったんだ。
無理をして崩壊なんてしないで、
強がらなくていいから、
あの冷たい部屋でただ生きていてほしかった。
ソ連、お前も本当は、
疲れ果てて、誰にも見せない場所で、俺みたいに無理に笑ってたんじゃないのか?
窓の外を見上げれば、
あいつが消えた夜空には、ただ俺を見つめる星くずが白々しく輝いている。
星すら見えない真っ暗な夜の中に、ただ一人で取り残されているような、そんな深い孤独。
完璧な光なんてどこにもない、真っ暗な世界。
だけど、今の俺にはそんな暗闇こそが酷く心地よくて、泥のような呼吸を繰り返す。
完璧なヒーローのままでいなくちゃいけない、なんて誰も言っていない。
あいつを殺した後悔も、
今、俺の瞳から落ちる星の雫も
全部無かったことにしなくていい。
あいつが遺していったこの痛みを、傷跡を、消えない冷戦の残像を、無理に克服して元気なヒーローに戻る必要なんて最初からない。
この歪んだ笑顔のままでいい。
あいつの幻影に囚われたまま、
不器用で柔い光のまま、
胸に抱きしめて歩いていく。
俺にはもう、あいつと競い合ったあの輝かしい日々は何も残っていない。
だけど、もし俺がこの傷を抱えたままで、いつか心の底から笑える日が来るなら。
その時は、お前に向かって、この静かな歴史を届けよう。
「……今は、まだ上手く笑えそうにないや。いや、いつも上手く笑えてるよな、俺は」
乾いた笑いをもう一度こぼして、俺は目元を乱暴に拭った。
手の甲についた水分が、部屋のわずかな光を反射して、
まるで小さな星のようにキラキラと瞬いている。
いつか、この痛みを抱えたまま、
自分の歴史を幸せだったと思える日が来るまで。
俺は世界の完璧なヒーローの仮面を被りながら、
その裏側で、お前の歴史と
一緒にこの退屈な世界を泥臭く歩いていくよ。
今の俺には、あの赤くて黄色い星と、歪んだ強がりだけで、十分なんだから。
『ーーーーーーИдите вперёд с высоко поднятой головой.』
『ーーーーーーーーПросто забудь об этом. Живи дальше с улыбкой.』
1つの星が流れ星となった。