朝の通学路。
元貴は家が学校から近く、
いつも少し早めに登校していた。
今日も静かな道を歩きながら、
昨日の出来事を思い出して頬を赤らめている。
元貴『先輩、やっぱかっこよかったな…///』
今日も会いたい、なんて思っていた時、
不意に後ろから、
自転車のブレーキ音が鳴り響いた。
滉斗『元貴!』
聞き覚えのある低い声に振り向くと、
滉斗が爽やかに手を振っていた。
滉斗『おはよ!早いね!』
元貴『せ、先輩!おはようございます、!』
ドキドキしながらも、
滉斗の隣を歩いてみるか迷う元貴。
すると滉斗は、さりげなく自転車を押しながら
元貴のペースに合わせて歩きだす。
滉斗『普段1人で登校してんの?』
元貴『え…あ、はい、みんな早く来ないので…』
滉斗は少し微笑んで、
『俺、今日時間あるから歩いてくわ』と
さらりと言う。
滉斗『もし良かったら、
今日から一緒に行かない?』
元貴『えっ…!?
でも、先輩自転車の方が楽じゃ…』
滉斗『今日は元貴と話したかったから、
いいんだよ、気にすんな』
滉斗の一言に顔を赤く染めて、
恥ずかしそうに視線を逸らす元貴。
元貴『じゃあ…あの、お願い、します、///』
歩幅を合わせて歩く二人。
垣間見える滉斗の優しい横顔に、
いつもより少しだけ朝が特別に感じる。
滉斗『俺ギター習ってたんだけどさ、
ギター弾きながら歌うのってむずくない?』
元貴『慣れちゃえば簡単です、』
滉斗『ほんと?…元貴と話すの楽しい』
元貴『…!僕も先輩と話すと落ち着きます、//』
道端の桜が風に舞い、光が二人を優しく包む。
そのまま学校の門をくぐる瞬間――
ちょうど登校してきた他の生徒たちが、
ふたりの姿に『えっ!?』とざわつく。
滉斗と地味な1年生が、
仲良く並んで登校している。
その意外な組み合わせに、みんな首を傾げる。
でも元貴はもう、ほんの少しだけ周りの視線が
気にならなくなっていた。
滉斗『じゃあまた放課後!ギター教えて!』
元貴『…ペコ(お辞儀)』
放課後にまた会えるという喜びが、
元貴にとって嬉しくて楽しみで堪らなかった。
滉斗と一緒に登校したあの日から、
学校の空気が微妙に変わり始めた。
朝も昼休みも、周囲の視線がチラチラと
自分に向けられているのを元貴は感じていた。
女子『もしかして…気のせい、?』
廊下ですれ違った女子グループが、
ひそひそと話している。
女子『先輩と一緒に登校してた1年、
あの子でしょ?』
女子『え、地味だけど、なんか可愛くない?』
女子『いやそれより、どういう関係!?』
その日は落ち着かないまま、昼休みを迎えた。
元貴が購買帰りに教室へ戻ると、
数人の女子に囲まれてしまった。
女子『ねぇ、元貴くん…ちょっといい?』
元貴『へ…?あ、はい…』
女子『若井先輩と一緒に登校してたよね?
あれってどういう意味?』
女子『知り合いだったの?なんで仲良しなの?』
次々に投げかけられる質問。
元貴はしどろもどろになりながら、
『えっと、あの…先輩が困ってるところを
助けてくれて…それで…』と小さな声で
説明しようとする。
だが女子たちは、
『へぇー!やっぱり若井先輩って優しいな』と
目を輝かせたり、
『もしかして両想いだったりして!』と
無邪気に盛り上がったり。
女子『今度、
先輩の好きなタイプ聞いてくれない?』
女子『元貴くん、
何かされたらちゃんと教えてよね?』
戸惑いと緊張で、
元貴の顔は真っ赤になってしまう。
その時――
滉斗『何してるの?』
女子たちがパッと道を開けると、
滉斗が教室に現れた。
女子『先輩っ!///
元貴くんからお話聞いてたんです♪///』
滉斗は静かに元貴の隣に並び、
『悪い、元貴借りるよ』と、
そのまま元貴の腕を軽く引く。
驚いた元貴が見上げると、
滉斗は小さく『ごめんね』と元貴に囁いた。
女子たちは、
『きゃー!』『かっこいいー!』『やばい!』
と黄色い声をあげつつ、
『元貴くん、また教えてね!』
とニコニコとその場を去っていった。
廊下に出た2人。
滉斗は元貴の頭を軽く、優しく撫でる。
滉斗『…ごめんね、
元貴が困るとは思わなかった…』
元貴『いや…先輩が助けてくれたから、
大丈夫です、///』
滉斗は少し照れながら、
『これからは、俺のそばにいれば安心って
思わせるくらい、守ってやるから』と
小さく呟いた。
元貴の頬は、また少しだけ桜色に染まった。
元貴『先輩ばっか、ずるい、///』
滉斗に聞こえるか聞こえないか分からない
くらいに小さな声で、元貴はそっと呟いた。
コメント
9件
キャァァァァァァァァァァァァァ(黄色い声過ぎて耳壊れる) やばいやばいやっぱ尊い…書くのうますぎて涙出ちゃう
尊くてタヒぬ♡ほんとこれよりサイコウナペアない(いいえあります。多分。)
ぐ腐腐腐腐腐腐