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「熱も下がったみたいだな。」
「でもまだ学校は休め。心配だ。」
「はい…お留守番しています。」
「そんな寂しそうな顔しないの。悠夜とアタシも今日は屋敷にいるんだから。」
「僕も休んで花月といたい~。」
「貴方たちは学校に行ってください。家にいても彼女が疲れるだけです。」
「ちょっと、手を出した悠夜には言われたくないんだけど!」
「ほら、奏も聖も行くぞ。」
「奏、しつこい男は嫌われる…。」
「む~…。2人に何かされたらすぐ電話してね。」
騒いでいた人たちがいなくなると大広間はいつもの静けさに戻った。
「まったく…。」
「花月チャン、昨日のこと詳しく教えてくれる?」
「はい。あまり細かくは覚えていませんが…。」
「昨夜、一体何が起きたのですか?」
「夕食の後、部屋で勉強していたら、奏が部屋に泊まってほしいと訪ねてきたんです。断りづらかったので、奏の部屋に行くことになりました。」
「それは何時ごろか覚えていますか?」
「たしか、20:00過ぎだったかと思います。」
「それでそのあとは?」
「奏の部屋に入って少しすると奏に押し倒され血を求められました。最初は冗談かと思ったんです。奏の瞳を見たら青く光っていて、この人は奏じゃないと察しました。すると奏は…奏に似たその人は、いきなり私のシャツを破りました。焦って彼を突き飛ばして部屋を出たんです。早く皆さんに伝えなければと思い走っていたら、階段から転げ落ちました。そこで、悠夜さんが見に来てくださったんです。」
「やっぱり…私と悠夜の読みは当たっていたのね。もし花月チャンが見た奏クンが大蛇族の変装だとしたら、本物の奏クンと花月チャンが見た偽物の奏クンが同時に存在することは可能。」
「あの…大蛇族ってなんですか…・」
「大蛇族は毒針を注入して相手の記憶や体を意のままに動かすことや変装を得意とする種族。その中には…花月チャンの家族を襲った下層吸血鬼たちと関わりのある吸血鬼がいる可能性が高いわ。」
「そのことで昨日書庫を調べましたが、大蛇族に纏わる本がすべて紛失していました。」
「本が紛失…?そんなのありえないわ。この家はアタシたちとアタシたちが許可した人しか入れないつくりになっているもの。もし誰かが無断で入れば結界が何らかの作動をするはず……。」
「じゃあ…一体誰が…?」
「まさか…アタシたちのうちの誰かが…?」
「バカなことを言うのはやめなさい。」
「でも、その可能性しか……。」
気まずい雰囲気になってしまった。あれだけ仲が良いのだから、身内を…仲間を疑いたくないことはわかる。
でも誰かが…仲間を裏切ろうとしているのだったら…それは止めないと。
「お二人を信じてお願いがあります。もし、誰かが私を殺そうとしているのなら、それを突き止めるために私を囮として使ってください。」
「それはできないわ。」
「でも、私の血が皆さんにとっていいエサなら、絶対に犯人を捜すのに使えるはずです。それに…間違ったことをしようとしているなら止めないと…。」