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診察のあと、先生から大量の薬が処方された。しかし、𓏸𓏸は戸惑ったままだった。「先生……涼ちゃん、水もほとんど飲めないんです。薬、どうやって飲ませたらいいんでしょうか……?」


先生はその問いに眉をひそめ、真剣な声で答えた。


「今の状態では、薬を無理に飲ませるのは難しいでしょう。まずは今日、点滴をしましょう――」


先生は静かに、抵抗もせず座っている涼ちゃんの腕をそっと取り、点滴の準備を始めた。

消毒の後、静脈に針が刺さる感触にも、涼ちゃんは全く反応しない。

ただ静かに、白い天井を見上げてまばたきをするだけだった。


その横で、𓏸𓏸はそっと隣に腰をおろす。

涼ちゃんの手は細く、まだ体温が冷たい。

薬の袋と、点滴のポタポタという音だけが、静かな病室に響いている。


体に点滴がゆっくりと流れ、ほんのわずか、涼ちゃんの頬に色が帰り始める。

𓏸𓏸はその変化を見逃さないように、じっと彼の隣に座り続けた。


希望と不安。2人だけの世界が、静かに回り続けている。

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