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庭にやってきてからしばらくして、急展開が訪れた。
突然現れた女性は、艶やかな髪と明るい緑色のドレスを身に纏っている。
自信満々な表情で堂々と言い放つ。
「フィリップス殿下!お会いできて光栄ですわ!」
彼女は間違いなくフィリップス王子の幼馴染みだと有名なマリアンヌ・コルベール公爵令嬢だった。
マリアンヌが来てからは、王宮の廊下が一気に騒がしくなる。
二人は仲良さげに並び立ち、ますます取り巻きが集まってしまう始末だ。
それでもイザベルは心配せずに見守る。
この時点ではまだフィリップス様に好意を持っていないし、何より二人は楽しそうだからいいやと思ってしまう。
そのうち会話は流れ始めた。
「ねぇ……今度一緒に食事会はいかがかしら?きっと楽しいわ!」
マリアンヌは積極的に誘う。
「あぁそうだな。考えておくよ」
彼は微笑む。
そんなやりとり見聞きしているうちに、複雑な気持ちが混ざり始めていた。
もし仮にフィリップス様を受け入れた場合、彼女との未来を描けなくなるのではないかと考える。
もちろん選択肢が無いわけでもない。
しかしこれ以上深追いすると、厄介事は増えそうな気がしていたため迷い続けた。
その日の夜、侍女メアリーに相談を持ちかけた。
「どうしたものかしら……」
悩むイザベルに対して、侍女は冷静な返答を述べてくれる。
「まずは落ち着いてくださいませ。もしフィリップス王子が結婚したいと考えていらっしゃるのであれば、もう結婚しましょう!!」
断言するような力強さ感じる言葉聞いて、一瞬安心感を得ることができた。
やっぱり結婚するしかないかな。
権力は手に入るし、悪いことじゃないよね。
決意を固めて寝床についた。
翌朝、早速行動に移す。
とりあえずお返事を伝えるために、フィリップス様の所へ向かった。
廊下曲がり角突き当たりまで来た瞬間、驚愕する光景に出くわす。
なんとフィリップス王子がマリアンヌとキスをしていた。
二人が唇を重ね合わせているなんて。
衝撃があまりにも大きくて頭が真っ白になり、足元から崩れ落ちてしまった。
気が付いたら、自分の部屋のベッドの上で横になっていた。
一体どこまで見ていたんだろう……。
思い出そうとしても全く脳裏に浮かばず、ぼんやりとした記憶が残るだけ。
不安を募らせていた時だった。
侍女の呼びかける声が聞こえてくる。
「お嬢さま、ご気分は如何でしょうか?」
ゆっくり体を起こして尋ね返した。
「えっとあの後、倒れたんじゃなかったかしら」
メアリーは小さくうなずいて教えてくれる。
「そうです。王子様の部屋の前から連れ戻しました。あなた様は相当ショックをお受けになっておりましたから、少し休まれてはいかがでしょうか?」
優しい助言を頂戴しながら、少しずつ落ち着き始めるよう努力した。