テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ぽっぴあ
2,599
10,347
120
「ただいま〜。」
「ただいまー……」
ドアを開けると、すぐに声が返ってきた。
「お、遅かったな。」
「オカエリ。」
「おかえり。」
靴を脱ぎながら、小さく息を吐く。
「満員終電だった…」
「うわ、それはだるいな。おつかれさん。」
リビングに入ると、いつもの空気があった。
テレビの音と、誰かの笑い声と、あったかい匂い。
⋯帰ってきた、って感じがする。
「ご飯できとるでー。」
「食べる〜…」
椅子に座る。
体の力が入らず、そのままテーブルに突っ伏した。
「顔やばくない?」
「今日ずっとやばい。」
「知ってる〜。」
コンちゃんが笑う。
「おつかれさま。」
そう言われて、少しだけ肩の力が抜けた。
ご飯を食べながら、なんとなく会話が続く。
今日あったこととか、どうでもいい話とか。
その中で、ふときょーさんが言った。
「そういえば、明日やっけ?」
「ん?」
「新しい家行くの。」
「あー、…うん。」
箸を止めて、少しだけ考える。
「明日には、もう向こうかな。」
「早ない?」
「まぁ、そんなもんでしょ。」
コンちゃんが軽く言う。
「じゃあレウさんたちはここも今日で最後か〜。」
「そんな今生の別れじゃないんだから。」
ツッコミを入れつつも、その言葉に、少しだけ部屋を見回した。
いつもの会話。
いつもの空気。
「……そうだね。」
なんとなく、静かになる。
でも、それも一瞬で、
「まぁすぐ会うでしょ。」
「だね〜。」
いつも通りの空気に戻る。
その感じが、少しだけ安心する。
食べ終わって、片付けて。
気づけば、もうだいぶ眠い。
「もう無理、寝る……」
「はいはい、おやすみ〜。」
「おやすみー。」
軽く手を振って、すぐそこの布団へ向かう。
毛布の上に倒れ込むと、すぐに体が沈む。
今日、長かったな。
しんどかったし、疲れたし。
でも。
「……帰ってこれた。」
小さく呟く。
⋯明日、か。
目を閉じる。
考える前に、意識が落ちていった。
NEXT=♡1000
コメント
2件