みなり達は、風にのって囁かれた声を頼りに、山奥へと向かっていった。
夜になったが、辺りはろうそくで照らされているみたいに、ほんのり明るかった。
2人の進んだ先に、二手にわかれた…掻き分けられたような道が現れた。
「さっきの“風”が言ってたのはここの事か。」
「うーん…今更ですけど、やっぱり怪しいです。部外者に…貴方は違いますが…集落への行き方を教えてしまっては、本末転倒ではないでしょうか?そもそも、あの“風”が集落の者かもわからないのに…」
「いや、その仕組みを外部から知る事はできないはずだ。俺だって集落を出るそのときまで教えられてなかったんだ。俺の予想だが、“座標岩山”…座岩とその仕組みを知る者は集落の中でも長とかそこらへんだけだろう。」
「それに、みなりが言い出したんだ。もう引き下がるには遅い…」
「なるほど…わかりました。じゃあ、右の道を行きましょう。走って行くのは」
「駄目だ。コケる。」
そんなこんなでみなり達は、右の道を進んでいった。
歩いて。コケないように。
「しばらく歩いたが、何も見えてこねぇな。」
「まあ、道がまだ続いているから、間違ってはないと思うのだけど…」
すると、奥に少し明るい、ひらけた場所が見えてきた。
「んー、明るいですね?どういうことでしょうか?」
そう言ったみなりの後ろで、白布が花を見つめていた。
「急に花を見始めてどうしたんですか?早く行きましょうよ。」
「………なんかこの花、蛍みたいにぽつぽつと光ってるな。」
「え、あっほんとだ。不思議な花ですね。…ってこれただのパンジーじゃないですか。」
「でもただのパンジーが光るか?」
「いやぁ……ん?このパンジー光ってるからわかりにくかったですが、“青い”ですね。」
「青色ぉ~?そんな色なんて…あ、そういや『青い花』とかいってたっけか。」
「じゃあ、この先に━━━」
みなりが顔をあげた。
…目の中がキラキラと光るような光景。
その先には。
━━幻想的に光る花園の中に、2つの“対称的″な木が悠々とそびえ立っていた。
コメント
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ほぼ二ヶ月ぶりの投稿だ… 次回はもっと延びないように頑張ります😉