(俺の存在が余計な負担になるだけじゃないだろうか)
そんな不安から元貴に声を掛けれないでいた。
side wki
自分だって忙しいんだから、
時間が無いんだと理由をつけてみるけど、
本当はあの冷たい目を思い出して、
躊躇しているだけだ。
もし、俺から誘って、
「今、そんな余裕がない」
とでも言われたら、俺はきっと立ち直れない。
まだ、ここまでのスケジュールに追われる前、
バンドを始めたばかりの頃、
俺が元貴の実家に行くと、
元貴は必ず笑顔で迎えてくれた。
「若井、ちょっと音合わせるから手伝って」
なんて言いながら、ふざけてギターを押しつけてきたりして。
今の元貴に、そんな余裕がないのはわかってる。
でも、会いたい気持ちを押し殺すのは、想像以上に苦しかった。
スマホの画面を開き、元貴の名前を見つめる。
ただ一言、「寝れてる?」と送ればいい。
それくらいの言葉なら、
元貴の負担にならないはずなのに。
けれど、あの冷たい目が頭をよぎって、指が止まる。
外は本格的な冬。窓から冷たい空気が少しだけ漏れ込んでいる。
それが胸の中まで冷やしてくるような気がして、布団を強く引き寄せた。
元貴は今、俺の事、どう思ってるんだろう――。
俺たちの関係って……なんだろう。
こんな事を思う自分が女々しくて嫌いだ。
「……なんか、俺、出会ってから、
ずっと片想いだな……。」
その言葉は、空気に溶けていくように虚しく響いた。
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コメント
55件
涼ちゃんの優しさが染みる 、 泣
やっばい最高👍✨ 涼ちゃん優しくて天使
優しいりょうちゃんの支えがあってこその今の関係なんなんだな〜って…… りょうちゃんにも幸せになってほしい