「……なんか、俺、出会ってから、
ずっと片想いだな……。」
その言葉は、空気に溶けていくように虚しく響いた。
……
side wki
事務所からあてがって貰ったタワーマンションの地下駐車場。
早朝から黒いワゴン車が音もなく止まる。
「おはようございます。」
マネージャーに挨拶しながら
俺がドアを開けて乗り込むと、後部座席には涼ちゃんが座っていた。
ふわふわしたパーカーに包まれた涼ちゃんが俺の顔を見るなり、少し驚いた顔をする。
「……若井、大丈夫? クマすごいよ。」
その一言に、俺は苦笑いを浮かべた。
「え……?くま になってる?」
笑ってごまかそうとする俺に、涼ちゃんがじっと目を向ける。
その視線が温かくて、でもどこか真剣で、俺は目を逸らした。
「……昨日、寝れなかったんでしょ?」
「まぁ、そんなとこ。」
軽く流そうとしたけど、涼ちゃんの声はさらに深く切り込んでくる。
「……元貴のこと?」
ドキリとする。
胸の奥に隠していた気持ちを見透かされた気がして、俺は小さく息を吐いた。
「……なんで……。」
「若井、わかりやすいんだよ〜。」
涼ちゃんの声は柔らかかった。
俺はため息をついて、昨日の夜のことをぽつぽつと話し始めた。
「……昨日、夢に元貴が出てきてさ。
抱きしめられて、名前を呼ばれて……。
でも気づいたら消えてて、俺一人だけ置き去りにされてる。」
窓の外をぼんやり見ながら、静かに言葉を紡ぐ。
「そんでさ。
目が覚めたとき、元貴に連絡しようと思ったわけ。
『寝れてる?』って。
一言送ればいいだけなのに、結局送れなかった。」
「……どうして?」
涼ちゃんが静かに尋ねる。
俺は小さく笑いながら答えた。
「迷惑になるかもしれないって思ったら……怖くてさ。」
その言葉を聞いた涼ちゃんは、
何故か涼ちゃんが泣きそうな顔をした。
……
コメント
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本当に辛い よねぇ ー ! 泣 好きな人に無理 、 って言われる辛さ 分かるよ ー ! 泣
めっちゃ好きです!!!!!こんなにハート連打したの久しぶりってくらい押しました(((
mtkさんがwkiさんを突き放してる訳じゃなく、ちゃんとwkiさんのことを思っての発言をしているのが心に来ましたね…これからの展開を楽しみに待ってます