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2 - なにそれ

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2022年02月21日

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「ただいま〜」


母の声が部屋にこだました。


「絶対喋ったらダメだよ」


「分かってるって!!!!!!」

無駄に強く言ってきたが、今はそれどころじゃない。


母から言葉が漏れる

「いおり!!お家にまた家に友達連れ込んだの!!」


「あ、ごめんひなた、バレちゃったわ」

「何してんだよ〜!!!」

親にも友達にも責められる私だった。


「ほらいおり!!!来なさい!!!」

2階まで響く母の声はバイクのエンジンよりうるさかった。


「へいへ〜い」

母の怒りは積もっていく。


トントン……

「なんですか〜」

「なんですか〜じゃないわよ!!!いい加減にしなさい!!!前も言ったでしょ!?!?家に連れてくるじゃないって!!!何度言ったら理解するのこの馬鹿野郎!!!!!!」


母は溶岩のように口から言葉を吐いた。


(あ〜うるせぇ〜)

その時ひなたと目が合った。


その瞬間、ひなたがこっちに来て


「いおりのお母さん、ごめんなさい。私が勝手に入り込んでしまいました。」


母の顔は曇った表情に変わった。

「……そう。次そんなことはしないで頂戴。」

「はい…すみませんでした。気をつけます。」

(ひなた…マジか……)


───────────────────


私は母にも、ひなたにも申し訳ないと思った。

流石に罪悪感で潰されそうになったから2人に謝った。

「母さん、ごめん。次、私も気をつける。」

母はイラつきながらも「次は本当にないわ。」と許してくれた。


ひなたにも「ひなたごめんね。元は私が悪いのに。なんか奢るね。本当にごめん。」と謝った。


ひなたは本当に優しい奴だ。


「いいよ!!!実際ダメって言われてたのに入った自分も悪いから気にしないで〜」

「…ただ」

「ただ???」

「奢っては、欲しいかなぁ〜w」

「んがッ…てめ……でも、そうだね……!!!!!!ん、でもッ!!!!!!」


私はもう所持金がゼロに近い。あの時奢るって言ったのは適当だったから、そんなことも考えていなかった。

「いや〜 “今” 食べに行きたいな〜」

所持金が無いことをとっくに気づかれていた。

やっぱ、言葉は痛い。


(いやーこれはまずいなぁ……)

頭でどうにかならないか、とぐるぐる回していたらあの時とは違う、優しい声が聞こえた。


「今日はもうご飯を食べて行きなさい。時間も遅いし、金曜日なんだったら泊まってく???」


母はこういうところで無駄に優しい。なぜ私にはこんな当たりが強いのやら…。優しい。もちろん優しいが。


「ええっ!?!?良いんですか!?!?そんな……迷惑じゃ」

ひなたは今まで見たことないような顔をした。


「なら……お言葉に甘えて。この事は母親に伝えておきます!!!本当にありがとうございます!!!!!!」


ひなたの声が明るく響く。母も優しく微笑んで応えた。

さっきいおり言ってたじゃん!!wって小声で言われる。

顔が急に変わって

「ふっ…命拾いしたな、いおり。」


ドキッッッ…………言われた。


「次は奢ってくれよな」


ひなたの目がこちらを窺う。とてつもない恐怖を感じた。あまりに怖くて寒くなった。


(え、ひなたってこんなに怖かったっけ)


ちょっとした不安がいおりに降りかかる。


「ひなた、成長したんだな〜」

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