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⚠嘔吐
角名は、侑の様子を心配していた。彼の瞳の奥に宿る絶望の光、そして、手首に時々見える不自然な傷跡。すべてが、角名には見えていた。
(侑…無理してるでしょ)
角名は、侑に直接声をかけることはしなかった。彼は、他人の領域に踏み込むのが苦手だった。だが、侑が一人で苦しんでいる姿を見て、いてもたってもいられなくなった。
ある日の放課後、角名は、部活を終えた侑を、体育館の出口で待っていた。
「侑」
角名に声をかけられ、侑は、驚いたように顔を上げた。
「なんや、角名…」
「ちょっと、話したいことあるんだけど」
侑は、戸惑いながらも、角名についていく。二人は、学校の裏にある誰もいない場所に移動した。
「あのさ…」
角名は、言葉を選びながら、ゆっくりと話し始める。
「最近、侑、元気ないように見えるけど、大丈夫?」
その一言に、侑の心臓が、大きく揺れる。
「大丈夫や…なんも、ない」
侑は、無理に笑顔を作る。だが、その顔はひどく歪んでいた。
「嘘つかなくていいから」
角名は、まっすぐに侑の目を見て言った。
「…俺、なんもわからへんのや…」
侑の瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちる。
「治に…嫌われてるんや…」
声が震え、途切れ途切れになる。角名は、何も言わず、ただ、静かに侑の話を聞いていた。
「俺は、ただ…サムと一緒にいたかっただけやのに…なんで、こんなことに…」
侑は、嗚咽を漏らしながら、角名の肩に顔をうずめた。角名は、何も言わず、ただ、そっと侑の背中を撫で続けた。その手は、侑の心を、少しだけ温めてくれた。
その日、侑は朝から酷い頭痛に襲われていた。朝食も喉を通らない。食パンを一口食べただけで、胃の奥からこみ上げてくるような吐き気を感じた。
「侑、顔色悪いな。大丈夫か?」
治が、珍しく心配そうな声で尋ねてきた。その一言が、侑の心を大きく揺さぶる。
(俺のこと、心配してくれとるんか…?)
その喜びと、治に嫌われているという絶望が、再び侑の心の中で嵐を起こす。
「なん…でも、ない…」
そう言うのが精一杯だった。侑は、その場に立ち上がると、そのままトイレに駆け込んだ。
「う…っ、げぇ…っ…」
便器に顔を近づけ、胃の中のものをすべて吐き出す。吐いても吐いても、吐き気は治まらない。
「っ…はぁ…はぁ…、っ…」
冷や汗が全身から噴き出し、頭痛がさらに強くなる。
「げぇ…っ…、、おえぇぇ…っ…、」
胃液だけになったが、まだ吐き続けた。背中を摩る治の手が、侑の背中に触れる。
「ツム、大丈夫やないやろ…何かあったんやろ……、話してみろや」
治の声は、いつになく優しかった。だが、その優しさが、侑の心をさらに締め付ける。
(サムに…こんな姿、見せたくなかった…、)
侑は、治の手を振り払い、その場から立ち上がった。
「来んな…っ…」
振り払われた手を見て、治の顔から、一瞬で表情が消える。
「…そうか、、」
治は、それ以上何も言わず、その場を後にした。侑は、その背中を見つめながら、再び便器に顔を近づけた。
「う…っ…くそ…っ…、」
吐き続けた胃が、痙攣を起こす。侑は、その場でしゃがみ込んだまま、動けなくなった。
嘔吐表現下手くそだった…、、
今回は妄想捗ったから長めだったと思う!
コメント
4件
角名にはとりあえず頑張ってほしい…🙄急に治が優しくなったら期待しちゃうもんね😢その態度は仕方ない…かも、? 続き楽しみにしてます🥰
ふへ、ふふ( ◜︎︎𖥦◝ )好きすぎでヤバイ🙄💕 角名はやっぱり双子よお見とんね…凄いわ🤔あと普通に嘔吐表現全然上手よ👍✨ 毎回思うんやけど言葉の表現?みたいなの上手すぎて凄い。 続き楽しみにしてまっせ😎✌️