テラーノベル
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治は、侑に拒絶された後、自室に戻り、ベッドに座り込んだ。
(俺は…侑を、傷つけたんか…??)
自分が、侑を追い詰めていることに気づいていた。
それでも、どうすればいいのか分からなかった。
侑の目に宿る狂気のような愛。
その愛が、治を怖がらせていた。
だが、今朝の侑の顔を見て、治は、自分の行動が間違っていたことを痛感した。
(あいつ、俺が避けてるから、あんなに…)
治は、自分の部屋の引き出しから、古いノートを取り出した。それは、侑と治が小さい頃から、一緒に使っていたノートだった。そこには、二人の思い出が詰まっていた。
初めて、二人でバレーボールを始めた日のこと。初めて、二人で全国大会に行った日のこと。そして…治が、侑に初めて、特別な感情を抱いた日のこと。
(俺は…侑のことが、好きや…)
改めて、自分の心と向き合う。
侑のことが、好きだった。
でも、この関係を壊したくなかった。
それが、治の唯一の選択肢だった。
(もし…もし、俺が、ツムの想いに応えられなかったら…)
その時、治は、侑を永久に失ってしまうかもしれない。そう考えると、怖くて、怖くてたまらなかった。
「あつむ…っ…、」
治の目から、大粒の涙が溢れ出す。侑と同じように、治もまた、一人で泣いていた。
角名は、体育館で、一人練習していた。スマホをベンチに置き、淡々とボールを上げ続ける。
(二人とも…いつまでこんなこと続けるんだろ)
侑の苦しみ、そして、治の葛藤。
そのすべてを、角名は、静かに見守っていた。
角名自身も、治に特別な感情を抱いていた。
だが、それは、侑のように狂気的な愛ではなかった。
ただ、治の隣にいたい。それだけでよかった。
「角名」
治の声が、体育館に響く。治は、角名の隣に座り、スマホをいじる角名の手元をじっと見つめる。
「なに…」
「…侑のこと、頼んだ」
治の声は、震えていた。その一言に、角名の心臓が、大きく跳ねる。
「なんで?」
「あいつ、俺には…俺には、もう、どうすることもできへん…」
治は、俯き、唇を噛み締める。その表情は、ひどく苦しそうだった。
(治…)
角名は、治の肩に、そっと手を置いた。
「わかった」
その一言が、治の心を、少しだけ軽くしてくれた。
その日の夜、角名は、侑の部屋を訪ねた。
「侑、ちょっといい?」
部屋に入ると、侑は、ベッドの上で、ぐったりと横になっていた。顔色は青白く、手首には、新しい傷跡がいくつも増えていた。
「…角名…」
「なんで、こんなことするんだよ…」
角名は、侑の手首を、そっと握りしめた。
「サムに…嫌われるくらいなら、死んだ方がましや…」
侑の瞳から、再び涙がこぼれ落ちる。
(…こいつは、もう…)
角名の心に、一つの決意が芽生えた。治から頼まれたこと、そして、侑をこれ以上、苦しませたくないという想い。
「……俺が、侑のこと、好きになってあげるよ」
「…………は……?」
その一言は、侑の心を、さらに深く、奈落の底に突き落とした。
あと1話か2話で終わる……💦
早くごめんね、🙇♀️
コメント
6件
2人とも壊れちゃってる..😵💫角名もこんな状況だからこそ治に気持ちを伝えられないのが可哀想😭 あと1、2話で完結!?まじかぁ、このお話めっちゃ好きだからちょっと寂しいわ🥲続き待ってまーす‼️
もう少しで完結!?まじですか…結構この作品好きなんですよねえ🥲けど最後まで絶対見ます! 治が角名にお願いしても侑が辛いのは変わらないんだよぉぉ…けどすれ違いとか大好きなのでめっちゃ最高です✨
切ない…そんですれ違いが良すぎる.🫶💓角名の「好きなってあげる」、意味は込められてそう…続き待ってるね😌💕