lr×gtR無し
なんでも許せる人向け
『』→ぐちつぼ
「」→ぐちつぼ以外
「“”」→無線
ローレンがいつかぐちつぼのことをぐちさんと呼んでた気がするので心の中ではそう呼びます。
ぐちつぼ視点
ギャング生活は本当に楽しい。
るせさんに誘われて入った組織は暖かくて、最初は面識のない人も多くて緊張していたけど今は大分居心地がいい。
まだ自分の全てをさらけ出すことは出来ないけど、こういうのはちょっとずつ。
長い付き合いになるのだからゆっくりお互いのことを知っていけばいい。
でも、そういえば男子の中でまだ1人気まずい雰囲気を漂わせている人がいる。
そうロレさんだ。
100年前も同じギャングだったが対して話さず終わってしまった。
ロレさんがギャングに入った時少しでも距離を縮めたいと思った。
でも俺は人と仲良くなるのが苦手だ。
どう距離を詰めていいか分からない、相手にどう思われるか分からない、自分を出すのが苦手。
他のメンバーと仲良くなれたのは奇跡みたいなもんだ。
ロレさん、、、仲良くなりたいけど仲良くなるまでの過程が怖くて、このままの関係でもいいかなと思ってしまう。
変なことをしてロレさんに嫌われたくない。
それはロレさんが特別な存在だからではなく、誰に対しても言えることだ。
人に嫌われるというのは怖いものだ。
踏み出せない。
だから色んな言い訳を並べて自分を肯定する。
人間関係とは難しいものだ。
だからなにもしなくていいならそれが1番。
面倒事は避けたいと思うのは悪い癖だろうか。
でもいいんだ。
ロレさんは仲良い人が沢山いるし、今更俺と仲良くなるメリットなんてないでしょ。
ローレン視点
単刀直入に、俺はぐちさんが好きだ。
恋愛的な意味で。
それはもう100年前から。
一緒に過ごした期間は短かったがその短い期間で俺を虜にさせるだけの魅力がぐちさんにはある。
怪我をするとぐちさんが体に触れて治療をしてくれる。
その希薄な繋がりをずっとずっと大切にしていたけどぐちさんからしたら俺はただの患者の1人で特別でもなんでもない事に後から気がついた。
終わってから死ぬほど後悔したけど全部遅かった。
でも、この世界でまた会えて、こうして同じギャングになれた。
これは運命だ。
絶対にこの世界でぐちさんと付き合う。
だが、他の人にならガンガンコミュニケーションを取りに行ける俺もぐちさんにはしどろもどろになってしまう。
好きな人を前にすると上手く話せない幼稚な自分が嫌になる。
ぐちさんがすぐに自分を出せる人じゃ無いことくらい分かっている。
俺から話しかけないと、この関係が発展しないことも分かってる。
でも踏み出せない。
実は色んなことを考えて、感じて真面目に物事を消化するぐちさんだからこそ、変に距離を縮めたら嫌われそうで怖い。
だがそんな気持ちも、好き、仲良くなりたいという気持ちには敵わない。
100年前と同じ運命は辿らない。
なにがなんでも距離を縮める。
そう決心した。
ぐちつぼ視点
アジトでダラダラしていたらいつの間にかロレさんと2人きりになってて気まずさを感じた俺は外に出ようと椅子を立つ。
だが一歩踏み出す間もなくロレさんに引き止められた。
「あのさーファイナル。今日2人で飲み行かね?」
『え?』
突然な誘いに戸惑いが隠せない。
「俺奢るからさ!」
『ああ、、、』
いくら酒好きの俺でも奢られる嬉しさよりも2人で飲みに行くことの不安が勝ってしまう。
話が続かなかったら、変な空気になっちゃったら、そんな起こり得るだろう事象に不安が募る。
断りたい。
せめてるせさんとかと一緒に、、、。
「いや、忙しかったらいいんだけどね!」
そう言うロレさんにどんどん申し訳なくなってくる。
断って、ロレさんが何を思うのか分からない俺じゃない。
悲しい気持ちにはさせたくない。
となると選択肢は1つ。
『いいぜ!奢りなら行こう!』
「まじで!?じゃあ、また夜に声かけるね」
そう言ってロレさんはアジトを去る。
善意だ。善意で行く。そう思ってる自分。
はなから仲良くなる気がない自分に気づいて胸が痛んだ。
どれだけ怖いんだ。
大丈夫。酒の酔いに任せてちゃちゃっと仲良くなってしまおう。
そしたらこうして胸を痛ませることを無くなる。
頑張ろう。
ただのサシ飲みに要らぬ気合いを入れた。
「男2人の食事だからただの居酒屋にしちゃった。大丈夫?」
『うん。こういうとこの飯が1番美味い!』
「良かった。」
そう会話を交わしてから店に入る。
普通の居酒屋だがかなり賑わっているから有名な店なのだろう。
ロレさんが名前を告げると奥の方の小さい2人用席に通される。
向き合う形で座るとギリ膝が触れないくらいの小ささだ。
絶妙な距離感(物理)がもどかしくてもう少し広い席にしてくれれば良かったのになんて思った。
メニューを見ると好きなお酒の銘柄が並んでいてテンションが上がる。
なるべく酔いやすいのを選んで注文した。
少し会話を交わすとすぐにお酒とツマミが出て来て俺は一旦それを胃に流し込む。
はやく酔いたかった。
気まずくてしょうがない。
「ん、これうめー!ファイナル!これめっちゃいいぜ!」
『まじ?、、、ほんとだ。美味しい!』
「だろ!」
『うん。』
「、、、」
『、、、』
変にテンションを上げているせいか、無言になった時の気まずさが半端ない。
当たり障りのない会話をしてお酒を流し込んでを繰り返す。
顔が見れなくて適当に周りを見渡してなんとかやり過ごす。
なんでこんなことしてんだ、、、。
ローレン視点
俺は気持ちいいくらいにぐちさんの中に吸い込まれていくお酒を見つめる。
正直いってあまりのスピードにちょっと引いてる。
そんなにお酒が得意だとは知らなかった。まるで排水溝だ。
なるべくお酒を介して仲良くなりたくなかった。
ちゃんと理性を持って丁寧に歩み寄る時間にしたかったけど俺が連れて来たのが居酒屋なんだから仕方がない。
それに、もしかしたら今の気まずさを紛らわそうとしているのかも。
そうだとしたら俺の力不足だ。
相手を楽しませることが出来ないなんて。
ポツポツとした会話。なかなか笑いが生まれない。
いつもの方がまだ上手く話せている。
『ロレさん、、、俺のことどう思ってる?』
「、、、へ?」
急な問い。お酒が回っているのかいつもより舌足らずな話し方でいきなりぶっ込んで来た。
それはぐちつぼからしたら大した問いではなかった。ただ、正当な評価を得て自分を安心させたいだけの問い。
でもローレンからしたら核心をつく質問だった。
それは俺のこと好きかと聞いているのと同じだ。
可愛くて、かっこよくて、世界一愛したい人。
そう言えたら楽だろう。
でも言うことは許されない。
きっとぐちさんは戸惑って俺から距離を取る。
今の関係よりももっと悪い関係になることくらい明らかだ。
「、、、大切な仲間、だと思ってるよ。」
『ふーん、、、。他には?』
「え?他?」
無難に答えたのにまさかの他を求められてしまった。
ぐちさんの質問の意図が見えなくて怖い。
「一緒にいて楽しい。」
『、、、でも今楽しそうじゃないじゃん』
「、、、え?」
バッと顔を上げる。
店に来てから初めて目が合った。
顔を赤らめて、頬を膨らませるぐちさん。
めちゃくちゃ可愛くて胸がドキっと音を立てるけど顔が赤いのは酒のせいだと言うことはわかってる。
「楽しいよ?こうやって話す機会も少ないし!」
『でも他の人と来た方が楽しいでしょ?』
「いやいや、え?」
ぷいっとそっぽを向く。ありきたりな拗ねた動作にまた胸がなった。
にしてもなぜこんなめんどくさい彼女みたいになってるんだ。
酔いすぎか?
「ファイナルといるのが1番楽しいよ。まじで。」
『、、、ふは笑かわいいね』
ぐちさんは突然そう言うと俺の頭を優しく撫でた。
状況が理解できない。
胸がうるさいほどなっていて顔に熱が集まる。
かわいいのはそっちだ!って叫びたい。
只々嬉しくて、幸せで暖かい。
頭を撫でられただけで期待してしまう。もしかしたら俺のことが好きなのかもって。
でもその手は思ったよりも早く俺の頭を離れてぐちさんは少し苦しそうな顔を見せる。
分からない。期待させるだけなのはやめて欲しい。本当に、本当に好きなんだよ。
ぐちつぼ視点
全て分かってしまった。
薄々勘づいていた。
確信を持ったのは今日だけど。
俺を見つめる目線が熱くて、俺に触れる手が訴えてきて、俺が触れたら顔を赤くして。
全部わかっちゃったよ。
『ロレさんってさ、俺のこと好きなんでしょ。』
「ぇ」
酒で頭が回らない。
いつも神経質になりながら気を使ってるのに、酒が入った今はどうでも良かった。
どうでも良くなりたかった。
「、、、好きだよ。」
その声が頭の中で響いて、どうしても受け入れられなくて顔を顰めた。
終わらせようとした。
そのはずなのに、今になって関係が壊れることが怖くなった。
ロレさんの気持ちに応えられないことが痛くなった。
泣きたいのはロレさんの方なのにどうしても、溢れる涙を止められなかった。
ローレン視点
「好きだよ。」
そう伝えた後の反応で全て察した。
さっきまで浮かれていた自分が惨めになる。
泣き出すぐちさんを見て、申し訳なくなった。
俺が、好きにならなければ良かったよね。
「言いたいこと、ちゃんと言って。」
ぐちさんが望むなら、ちゃんと終わらせよう。
『怖いんだ、、、じぶんを、うまくだせないッ、、、ロレさんのこと、きらいじゃない。できることならッ、、、そのきもちに、こたえたい、、、。』
「そんなの望んでない、、、!同情みたいな愛なら要らない。」
『ちがう!わかんないんだよ、、、人を、好きになるのが怖い。嫌われた時のことを、、、考えちゃうから。』
ぐちさんが思ったよりも色んなことを拗らせていて、素直に人を好きになれないなんて思ってもなかった。
ぐちさんは相手のことを大事にするけど自分のことをもっと大事にする。
終わらせようと思った。
でも、終わらせられない。
勝手だけど幸せにしたいって思っちゃった。
怖いと思う気持ちも分かる。
でも怖がらないで欲しい。
「俺は、一生好きでいるから、心配いらないよ。」
ただ口説きたいだけじゃない。
シガラミを全部、とってあげたい。
出来れば俺に、依存して欲しい。
「すぐに答えを出す必要なんてない。少しずつ、俺のこと好きになって。」
『、、、』
「きっと、幸せだよ。」
俺はぐちさんの頭を優しく撫でる。
俺の熱が、全部伝わればいいなと思う。
ぐちさんが気づいたのなんてほんの一部。
俺の愛は深いんだよ。
ぐちつぼ視点
目が覚めるとアジトにいた。
頭をフル回転させれば昨日何があったか簡単に思い出すことが出来た。
酒に酔った勢いで色々口走ってしまった。
ああ、憂鬱だ。
面倒臭いことは嫌いなのに。
無線に入って挨拶をすると他のメンバーから挨拶が返ってくる。
その中でやけにロレさんの声だけが頭に響いて素直に意識してしまってることが分かった。
付き合う気はない。
ギャング内でよういうのは良くないと思うし。
仲間っていう関係が1番心地いいだろうし。
嫌いになられたら傷つくし。
また言い訳を並べて深く関わることを拒否する自分。
何も変わってなくて嫌になる。
「“ファイナルー?いるー?”」
ロレさんからの無線が届く。なんだろうと返事をする。
『“いるよ。”』
「“ファイナル!今日も愛してる!”」
「“はあああああ!?!?!?!?”」
叫んだのは俺じゃないメンバー達。
たちまち無線は騒がしくなって色んな声が飛んでくる。
もう本当面倒臭い。
でも、顔に熱が集まって心臓が不規則な音をたてる感覚は悪くない。
コメント
2件
本当に最高ですありがとうございます😭😭😭🫂
プリ小説の方でも 拝見しました!