テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
イグアナ丼
49
#オリジナルキャラクター
十二支の中でも、子と丑は一緒にいることが多い。
理由は単純だった。
丑が真面目すぎるから。
そして子が、放っておけないほど無茶なことをするから。
ある日のこと。
丑が大量の書類を机に積み上げていた。
「……まだ終わってないの?」
隣で白衣の袖に埋もれながら、子がぼそりと言う。
「まだ、ではない。今日中に終わらせる予定だ」
丑は淡々と答える。
子は書類を見る。
数秒。
「……非効率」
「何?」
「同じ内容を三回確認してる。あと、この順番だと後で二度手間になる」
子は眠そうな目のまま、丑の書類を取り上げた。
「僕なら半分の時間で終わる」
「なら手伝ってくれるのか?」
「……」
子は黙る。
「面倒」
「そう言うと思った」
丑は小さく笑った。
ーー数時間後。
丑がふと気づく。
「む、、?」
机の上の書類が、いつの間にか整理されていた。
優先順位、必要な資料、確認事項。
全部きれいにまとめられている。
「…子」
「……何」
「手伝わないと言っていたはずだが」
「手伝ったとは言ってない」
子は本を読みながら答える。
「見てたら無駄が多すぎて気になっただけ」
「それを手伝ったと言うんだ」
「違う」
「違わない」
しばらく沈黙。
丑が口を開く。
「お前は、自分のことを面倒くさがりだと思っているだろう」
「実際そう」
「だが」
丑は整理された書類を見る。
「お前は必要なことは絶対に見捨てない」
子は少しだけ目を細めた。
「……」
「仲間が困っているなら、結局助ける」
「……買い被り」
「そうか?」
「そう」
「なら、なぜ助けた」
子は少し考えて。
「……」
「……放っておく方が面倒だったから」
「お前らしいな」
後日。
寅と亥がまた勢いで問題を起こした時。
丑がため息をついた。
「またか……」
すると隣から子の声。
「予想通り」
「予想していたのか?」
「二人の性格を考えれば簡単」
子は眼鏡を直す。
「だから対策も用意済み」
丑は少し驚く。
「いつの間に」
「……昨日」
「寝ていないのか?」
「…ちょっとね」
「ちょっとじゃないだろう」
子は目を逸らす。
丑はため息をついた。
「お前も無茶をするな」
「丑に言われたくない」
「……」
「……」
二人は同時に黙る。
そして。
「似た者同士だな」
丑が言う。
「違う」
子が即答する。
コメント
1件
みぅです🤍🥀 第13話、読み終えました。子と丑、本当に良い関係性ですね…。「面倒」って言いながら、ちゃんと丑のために動いてる子のツンデレ具合が尊い。あと、最後の「似た者同士だな」に「違う」って即答するところ、照れ隠しっぽくて好きです。二人とも無理しすぎず、でもお互いをちゃんと見てるところが、じんわりきました。ちょこぬさんの描く間合いの取り方、すごく好きです🌙