テラーノベル
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決めた。ここを出よう。僕がいなくなれば、滉斗さんが怒られることもないし、涼架さんともまた、仲良くするはず。全部、全部僕が来たから、おかしくなったんだ。
「もとき君、おやすみ~また明日ね」
「また明日……」
また……と言いかけて、おやすみなさいと言い直した。またはないんだ、今日で僕はお別れするから。明日にはいないから。
足音もしない夜中。もうそろそろ大丈夫かな。夜には、使用人さんたちも、お部屋に戻ると教えてもらったから、誰もいないはず。
そっと、静かに。絶対に二人を起こしちゃダメ。最後の最後まで迷惑かけるなんて、そんなことはしたくない。
玄関から出ると、扉が大きいから音が出ちゃう。なら、一回の部屋の窓から出れば良いんだ。それなら音は出ないはず。そっと鍵を開けて、忍び足で外に出る。寒いな。お昼は、まだ暖かいけど、さすがに夜は寒いな。
音を出さないように、門のところまでいって、立ち止まる。どうやって門を出よう。この門は、動かすと、ガチャガチャと音が出るのは分かっている。……あ、隙間通れそう。体が小さくてよかった。
さよなら、ごめんなさい。たくさん迷惑をかけて。もういなくなるから、また二人で笑ってね。その意味を込めて大きな建物にお辞儀をする。
カサっと風が落ち葉を揺らす音がして、びっくりして走り出した。どこに行くかは決めてないし、分からないけど、とにかく走る。あそこから早く離れないと。その一心で走った。
あれ……?僕泣いてる?寂しくなんかないもん、本当はもっと一緒にいたかったとか、そんなこと……ない……もん。
ここは、どこだろう。気付けば全然知らないところに来ていた。周りには少し家があるけど、この当たりはない。いくつか、空き地になってるところが並んでいた。その中のひとつの敷地に、僕は吸い込まれるように入った。
ただいま。
なんでそう言ったのかは自分でも分からないけど、自然と声が出た。伸び放題伸びた草の中に体を丸める。風が僕の頭を撫でた気がした。
久々だな、こんなところで寝るのは。でも良いんだ、こうすれば、みんな幸せになれるから。
もうだいぶ明るいけど、おやすみなさい。
「……き!……とき!どこ……んだよ!」
「……きくーん、どこにいるのー!」
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コメント
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大森さんが吸い込まれるように入った土地ってもしかして、大森さんの実家⁈