テラーノベル
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「……き!……とき!元貴!どこいったんだよ!おい!」
「……きくーん!どこにいるのー!」
声がする……聞き慣れた声が。でも、昨日お別れしたはず。なんで、僕を探してるの?僕は二人の幸せを壊したんだよ?
「元貴!頼む、戻ってきてくれ!どこにいんだよ!」
「滉斗、朝だから、あまり騒いじゃ」
「ならどうしろってんだよ!」
ほら、やっぱり二人は喧嘩してる。でも、僕がいなくなったのに、喧嘩してるの?僕がいなくなれば良いんじゃないの?
「元貴!そこにいんだろ!元貴!」
「ちょっと、滉斗!そこは他人の敷地だよ!」
「関係ない!そこにいる気がすんだよ!」
がさがさと僕の周りの草が揺れる。だいぶ背が高くなってて、僕よりも背が高い草たちが。戻りたいよ……戻りたい…けど。
「……元貴!」
バサッと掻き分けられた草の間で、滉斗さんと目があった。滉斗さんの目は、見たことないくらい潤んでいて、僕を見つけた瞬間、その場に崩れるように座ってしまった。
「良かった……よかった、生きてて」
あの夢をみた日みたいに、僕に抱きついてきた滉斗さん。でも、僕を抱き締める力は、あの日よりもずっと強かった。
「なんで、いなくなるんだよ。俺がどれだけ心配したか……」
心配したの?僕がいなくなって。幸せを壊した僕を、心配してくれるなんて。どうして、滉斗さんは、こんなに僕を大切にしてくれるの?
「でも、本当に生きててくれてよかった」
「滉斗!……もとき君!よかった、ここにいたんだね」
涼架さんもやって来て、僕に抱きつく滉斗さんごと僕たちを包み込んだ。ちょっと苦しいけど、温かい。これを、あいされてるって言うのかな。
「僕寒いから車戻りたーい」
「元貴、また一緒に暮らしてほしい。車、戻らないか?」
僕のせいで喧嘩させちゃって、こんなよく分からないところまでさがしに来させちゃって、僕はたくさん迷惑をかけて、困らせてるめんどうな子なのに。それなのに……。
「俺は、元貴だからこんなに焦ってんだよ。元貴が大切だから」
「滉斗……」
こんな僕でも、大切って思ってくれるんだ。僕だから、そんなに泣いてるの?僕も……僕も、本当は……一緒にいたかった。
「これから、また一緒に暮らせるから。かった、なんて言うな」
18歳にしては、小さすぎる僕の体を、滉斗さんがそっと抱き抱えて、草むらを出る。あぁ、もう町はこんなにも明るくなってたんだ。
「帰ろーぜ、俺たちの家に」
前を向いたままそう言った滉斗さんに、僕はギュッとしがみついた。もう離れたくない、もう二度と、一人になりたくない。アイって、あいって、温かいものだと書いてあったけど、それを示すように、滉斗さんの体は温かかった。
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#ご本人様には関係❌
コメント
4件
今回の件で一気に2人との距離が縮まった気がします!! サンドウィッチを食べた時は、大森さんは若井さんの服を摘んだ のみでしたが、今回の『しがみついた』という変化に感動しました🥺 大森さんに対する愛情は、若井さんと藤澤さん間でかなり差があるように感じます… 藤澤さん、大森さんと若井さんの本当の関係性をやはり知らないのでは…? 続き楽しみにしてます!!