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暫くはやることもないから自分の肉体を見つめていた。


こうやって見るとなんだか不思議な感覚になる。


自分はここにいるのに全く同じものが目の前にあるんだから。


(ピッ…ピッ…ピッ…


さっきからずっと無機質な音が鳴り響いている。


まって、ワタシ生きてるの?


でも、もうすぐ終わるかな。


暇だし夜の散歩にでも行こ。


わざわざ扉からでて下に行ってってするのは大分面倒くさい。


だから窓から出て夜の空の散歩に行くことにした。


いやぁー…。1回は空飛んでみたかったんだよね。


こんなにあっさりと夢が叶うなんて思ってもみなかった。


さて、何処に行こうか。


特に行き先があるわけでもなかった。


そのままふわふわと飛んでいく。


あ、この公園、懐かしいな。


チーノが石につまづいて派手に転んで。


ショッピは日向が嫌なのか木や建物の影を追いかけてそこにいたっけ。


小さい頃はよくお世話になった公園。


小学生までは遊んでいたけど中学生からは滅多に遊ばなくなった。


死ぬ前に1回だけでも遊んでおけばよかったな。


もう少し先に飛んでいくとワタシの家が見えた。


家に入るとすっかり見慣れた風景があった。


お母さんたちにもワタシが死んだことは連絡が行ってるみたいで。


お母さんとお父さんが肩を寄せあって泣いていた。


やめてよ、こっちまで泣けてくるじゃん…。


“今まで、、、いや、ワタシをここまで育ててくれてありがとう。お父さん、お母さん。”


そう聞こえるはずもない感謝を告げた。


両親にはワタシの声が聞こえたのだろうか。


後ろにいる両親の頬が一瞬緩んだのを知らずに家をでた。



気がつくと彼らの住んでいるシェアハウスまで歩いてきていた。


ワタシも彼らのことが好きなのかな?笑。


幽霊だから、不法侵入で捕まることは無いけど一応玄関から入っておこう。


玄関の扉をすり抜け、リビングね向かう。


何回か入ったことあるけど相変わらず広いなぁ。


リビングで何かを話しているようにも聞こえる。


聞いてちゃダメかな。


今ワタシのことは見えてないんだし輪の中に入ってもいいのか。


リビングでは勢揃いで会議が行われていたようだった。


トントン「〇〇ちゃんはおらんくなったけどさ、今まで通りにいこうや。」


そう、元気なく言うトン氏。


笑顔を作っているつもりなのだろうけど、顔が引きつっている。


この現実を受け入れたくないと顔から分かる。


しっかり元気出してよね…。


シャオロン「悔しいけど戻ってこないもんな。」


泣きそうな目になり、声も震えているシャオ。


涙を堪えようとしてるのか両手が固く握られている。


爪が食い込み、血がでてきそうな勢いで握りしめていた。


本当に悔しそうにしている。


コネシマ「俺ら、これからどうしたらええんやろか。」


真剣な表情で、でもどこか寂しさの入ったような顔で話し出したシッマ。


いつもの元気さや大声はどこにいったのかってくらい静かだ。


みんなはうるさいってよく言うけれど。


あの元気さ、ワタシ結構好きだったんだけどな。


ロボロ「やっぱり、元気なんて、だせへんわ。」


大粒の涙を流しながら口を開いたロボロ。


いつもは顔につけている布を今日は外している。


服の裾で拭っても拭っても出てくる涙を必死に止めようとしている。


もう少ししたら大声で泣きだしそうなくらい。


ゾム「・・・」


いつも、ワタシに大好きだって言ってくれていたゾムは今日はとても静か。


顔も無表情で何を考えているか分からない。


椅子の背もたれにもたれ掛かり足と腕を組んで座っている。


フードをいつもより深く被っているような気がした。


鬱先生「俺、もうあかんわ…。」


そう言ってへらりと力なく笑う鬱。


こうやって笑うときは大抵良くないことを考えている時。


目尻には微かに涙が溜まっていて。


頬を伝い、一粒また一粒と涙が流れ服に滲みができていく。


チーノ「これから一気に寂しくなりますね…。」


ぐるぐるメガネが特徴のチーノの目はどこか遠くを見据えている。


ソファに身をあずけだらんとしている。


瞬きはしているが死んでいるように動かない。


ショッピ「〇〇さん、天国で楽しく暮らしてるといいっすね。」


普段は神や天国などを信じないショッピの口からそのワードがでてきたことにびっくりした。


今すぐにでも、ワタシはここにいると伝えたい。


つまらなさそうにお気に入りの猫のぬいぐるみで遊んでいるショッピ。


それで、寂しさを紛らわしているのかな。


エーミール「〇〇さんがいないのは寂しいですけど、頑張っていきましょうよ。」


みんなを説得するように言うエミさん。


話を聞くに、さっきから説得してくれているらしい。


そんなエミさんもどこか苦しそう。


唇を噛んで涙を堪えている。


みんな、ワタシがいなくなっただけでこんなに変わっちゃうんだ。


普段はワタシのことなんて興味無さそうにしてるのにさ。


ゾムは最初っからオープンしてたんだけど。


多分他の彼らは隠してるつもりなんだろうけど全く隠れてない。


とても分かりやすいとまではいかない、他の人たちからみたら分からないくらいだ。


ずっと彼らのことを小さい時からずっと見てきたワタシだけが分かること。


みんな、泣くことなんて我慢しなくていいのに。


泣ける時は泣けって、ワタシ言ってるじゃん。


“頼れる時に頼って。一人で抱え込むのは禁止。”


これはワタシが頑固な彼らの為に


“我慢なんてしないで頼って。”


みたいな感じで言いっていた言葉。


でも守ってくれたことなんて一度もない。


頑固なんだから仕方ないかなんて思ってたんだ。


でもどこかで約束を守ってくれていることを願っている。


彼らは何だかんだ言ってワタシの約束を破ったことなんてない。


だからきっとワタシの知らないどこかで約束守ってくれているはず。


未だに重たい空気を漂わせている彼らの空間に誰かのスマホの着信音が鳴る。


(ヴーッヴーッ


それは夜の十二時を知らせる着信音だった。


彼らはそれに気づき、ハッとした。


シャオロン「…そろそろ寝るか、明日も学校あるんやし。」


ロボロ「せやな、行ったら先生に謝らんと。」


コネシマ「てか俺ら今日テストやなかったか?」


ゾム「うっわ忘れてた!」


トントン「うし、はよ寝て明日に備えるか。」


鬱先生「もうやだぁ…何でテストなんかあるんー?」


ショッピ「兄さん勉強してないんっすか?笑」


チーノ「ショッピは頭ええからいいよなぁ。」


エーミール「じゃあみなさん電気消しますよ?」


all-em「はーい。」


今まで魂の抜けたような感じだった彼らに落ち着きが戻ってきた。


いつもの変わらない彼らに戻ってくれた。


その事に安心しワタシはすぐそこにあったソファで雑魚寝することにした。


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