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「それで、親父にはちゃんと会わせたい人がいるからって時間取ってもらった。透子会ってもらえるかな・・?」

「もちろんだよ」

「でもそんな状況で会う機会設けたから、正直親父は何言い出すかはわからない。透子を目の前にしてもしかしたら反対するかもしれない。だけど、絶対オレが何あっても透子守るから。絶対納得させるから」

「私は平気。それでもちゃんとご挨拶したい」


樹が今はどんな状況になっても、ちゃんと私の存在を伝えてくれるのが嬉しい。

自分を選んでくれるのが嬉しい。


正直私は喜ばれない相手かもしれない。

だけど、樹だけは諦めたくない。



「まさか、またこんなに早くそんな話進めるって思ってなくて、オレがもっとちゃんと話しておけばよかったのに・・ごめん」

「仕方ないよ。樹もずっと忙しくしてたワケだし。そうだよね。結婚って私たち二人だけの問題じゃないもんね」

「オレも透子の家族に許してもらえてちょっと安心してたとこあったのかも。実際はオレんとこが一番問題なんだよな」

「そうだね・・。うちの家は父がいなくて片親だし、正直樹の家には相応しくないって言われちゃうかもだけど」

「いや!そんなこと絶対言わせないから」

「だけど。せっかく親子の関係ちゃんと修復出来始めてるのに、私のせいでこれ以上酷くさせてほしくないって気持ちもある」

「それは・・オレがなんとかする」

「だけどさ・・・。反対されたとしても、もうどうやったって樹と離れること出来ないんだよね」

「うん。もうオレも透子と離れるの無理。だから絶対説得する」

「うん・・・」

「でも母親には透子のこと話したんだ」

「そうなの?」

「うん。透子とは一度会ってくれてるし、透子のこと知ってくれてるから。実は母親は透子のこと気に入ってくれてる」

「ホント!?」

「うん。母親には最初に会った時から、オレがずっと好きで大切に想ってる人だって伝えてたから」

「えっ?一番最初に樹が紹介してくれた時から?」

「そう。あの時にはまだ透子にはオレの母親だってことは伝えてはなかったけど、母親には仕事上のパートナーでもあり将来も考えてる人だって紹介したから」

「そうだったんだ・・・。嬉しい」

「だから母親は最初から祝福してくれてる」

「そっか・・よかった・・」


ずっと憧れていたREIKA社長には祝福してもらえているのは何より嬉しい。


「だから近々母親にもちゃんと紹介させて」

「うん。ずっと憧れていたREIKA社長に会うなんて緊張しちゃいそうだけど」

「緊張しなくて大丈夫だよ。案外気さくな人だから」

「うん」

「でも母親も最近忙しくしてるらしくてさ、ゆっくり時間取れるのが今週の日曜の夜らしいんだ。それで、親父も日曜なら大丈夫らしくて・・・。本来なら親父に先に時間取ってもらって説得早めにしたいとは思ってるんだけど、同じ日ってさ~。まさか一緒ってワケもな・・」

「樹。一緒じゃダメかな?」

「え?」

「だって本来は樹のご両親なワケで、樹は二人とも連絡取り合ってるんだし。結婚の話だから二人一緒にお話出来る方がいいと思う。それに今離れているのもお互いを尊重させたからだし。親子3人で会ったことはいつ以来ないの?」

「離婚してから一度もないかな・・・」

「そっか・・。なら、このタイミングで会うっていうのもいいきっかけのような気がする」

「そうかもな・・。オレも今の二人の気持ちちゃんと聞いてみたい。オレもこの機会に親父の本当の思いを知りたい」


ずっと反抗していた樹にとっては、きっとちゃんと話し合う時間が必要なのだと感じた。

樹もご両親も、お互い本当の部分はきっと見ないフリをして、今やその先を見ながらも、大切なモノをどこかに一緒に置いて来てるような、まだ心残りの何かがあるような、そんな気がして。


「だけど、透子はそんないきなりオレらの重い中に一緒に巻き込んで大丈夫?正直オレも3人で会うなんて随分昔のことで、ちゃんと話せるかもわからないし、二人もどう接してくるかもわからない」

「だからだよ」

「え?」

「だから私が一緒に行きたい。もしかしたらお二人にとっては私の存在さえも邪魔に思えるかもしれない。だけど、樹が私の家族にちゃんと寄り添ってくれたみたいに、私も樹の家族のお二人とそうなりたい。私だからこそ出来ることがあるなら力になりたい」

「透子・・・」

「それに・・。やっぱり樹のご両親はそれぞれ好きなことをしてお互いそれぞれの道で頑張ってて。だからこそまた今、家族の絆をまた取り戻してほしい。私の家では叶えることの出来ないご両親との絆を樹にはちゃんと大切にしてほしい」

「そうだよな・・。結局うちは皆逃げてるんだよね。きっと。本当はわかってるんだよ皆。本当はそこに戻りたいくせにさ。今更誰もそれが言えなくなってる。例え戻れなくても、親父と母親の二人はちゃんと今だからこそ伝え合うべきなんだよな」

「うん。それを唯一知ってるのは樹だけでしょ?お互いの気持ちを樹だけは知ってる。だからこそ今樹が伝えてあげてもいいんじゃないかな」

「そうだね。透子にはもしかしたらツラい想いさせるかもしれないけど・・でも一緒にいてくれる?」

「もちろん。きっと樹はそれを乗り越えてようやく本当の幸せを感じることが出来ると思う。だからそれを乗り越えて一緒に幸せになろ」

「時間かかるかもしれないけど透子ついてきてくれる?」

「ついていかない選択なんてある?もう私は何があっても樹についていくだけだから」

「ありがと透子」


きっとずっと何か引っかかっていたのはこれのような気がする。

これを解決しなければきっと樹はいつかまたどこかでぶつかる。

今まで樹が気にかけていたこと、自分を好きになれなかった理由、きっと今はまだ解決出来ていない。

最後に乗り越えなければいけないこと。

これを乗り越えて、きっとようやく樹は自分も好きになれて、今が幸せなのだと感じてもらえるはずだから。

例え私が出来ることがほんの少しだとしても。

だけど、もしそれがほんの少しでもあるなら、これから私が樹の力になりたい。

樹を救ってあげたい。

そして今私が樹と一緒にいることが間違いではないと思えるように。

樹と一緒にいることが意味があるとちゃんと実感出来るように。



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