この作品はいかがでしたか?
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男に連れられてやってきたのは大きな扉の前。その奥からは笑い声が聞こえてくる。俺はゆっくりと扉を開いた。中にはたくさんのテーブルがあり、そこに座っているのは身なりの整った男たち。おそらく貴族や金持ち連中なんだろう。みんな楽しそうにそれぞれゲームを楽しんでいるようだった。
またポーカーでもやるかな。俺は適当な席に座って賭け事を始める。すると、隣に座ってきた人がいた。
「私と勝負しないか?」
「……いいですよ」
俺は笑顔を浮かべて答える。
俺の隣に座ってきたのは金髪の男。歳は20代前半と言ったところか。顔立ちはかなり整っていて、背も高い。
俺は配られたカードをちらりと見る。うわあつよい…。賭けの神様俺のこと溺愛しすぎでは??俺はとりあえず手持ちのコインを全てベットした。
手札をオープンする。俺はフォーカード、相手はフルハウス。相手も中々に強い手札だが、俺の方が強いな。俺の勝ちだ。
その後もまたいろんな人と勝負したのだが、先ほどとは違い何回か負けたものの、勝ち星の方が多い。のめり込んでしまう前に切り上げないとなぁ。
「ここらで俺はそろそろ……」
そう言いかけた時、俺は背後に人の気配を感じた。周りの人間たちがぴたりと言葉を止めたのだ。俺は後ろを振り向く。そこには見覚えのある顔があった。
黒髪のオールバック、顔を横断するように走る傷跡が目立つ。
――サー・クロコダイル?
うっそだろおい……。やばいやばい、調子に乗って遊びすぎた。やっちまった。俺の後ろに立っていたのは紛れもなく、あの七武海の1人、クロコダイルだった。
早く立ち去りたい、そんなことを考えているうちに、いつの間にか目の前にクロコダイルの顔が近づいていた。仮面越しに強烈な圧を感じられる。
俺が黙ったままどうするべきか頭の中で思考を巡らせていると、左腕に装着した金色のフックで俺をすくうように引き寄せる。
「うわわっ」
突然の出来事に驚き、思わず情けない声を出してしまった。そしてまた数秒間見つめられたかと思えば、クロコダイルは俺に「ついてこい」と言って歩き出したので、俺は素直についていくことにした。逆らう方が怖いので。
クロコダイルに連れて行かれたのは、カジノの最上階に個室?だった。部屋に入ると、俺はソファに座るように促される。ちまっと場所を取らないように浅く腰掛けた。
クロコダイルは葉巻を取り出し火をつける。一息吸って、紫煙を吐き出すと、俺に視線を向けた。うわこわ。俺殺されちゃうの?なんて考えていると、クロコダイルは意外な言葉を口にする。
「お前、名は?」
その言葉に俺は黙ってしまう。ど、どうする?馬鹿正直に本名を明かすか?ちょっとクロコダイル相手に馬鹿正直に名前を明かすのは怖いんだが……。俺は少し悩んだ後、答えた。
「…ジェイデン」
クロコダイルという男を欺くのが怖くなった俺は本名を名乗ることにした。
俺の言葉に、クロコダイルは小さく笑みを浮かべると、俺に向かって手を差し出してきた。ええっと……、これはどういうことだろうか。握手しろってことでいいのか?それともお手?俺は犬ですか?
俺は恐る恐る手を伸ばして、差し出された手を握ってみる。
「フッ、面白い男だ。気に入った」
「は、はい……? ありがとうございます……?」
気に入られてしまったらしい。なんかもうよくわからん。この人たちは俺の何を見て気に入ったり好意を抱いたりするんだ?俺みたいな平凡な奴よりもよっぽどこの人たちの方が魅力的だと思うんだけど……。
そんなこんなで俺は無事(?)にレインディナーズから出ることができた。
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