テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「」せりふ ()こころ
赫 視点 .
三月。
六奏学園の講堂は、厳かなクラシックの音楽と、どこか浮足立った卒業生たちの熱気に包まれていた。
証書を受け取り、自分の席に戻ってくるらんの姿を、俺は一歩引いた壁際から静かに見つめる。
前髪の鮮やかなピンク色が、春の柔らかな光に透けて本当に綺麗だ。
「百瀬くん、卒業おめでとう。……あの、最後に、みんなで写真撮らない?」
式が終わった直後、数人のクラスメイトが名残惜しそうにらんに駆け寄ってきた。
かつてのらんなら、聖母のような笑顔で「うん、撮ろう!」と応じていただろう。けれど、今のらんは違う。
らんは俺にしか聞こえないかすかな衣擦れの音を立てて、一歩、彼らから距離を置いた。
「ううん、ありがとう。でも俺、なつとすぐに帰らなきゃいけないんだ。……みんなも、元気でね」
ふんわりとした、けれど絶対に壊せない透明な壁を隔てて、らんは微笑む。
クラスの連中が「あ、そっか……じゃあね、百瀬くん」と、寂しそうに離れていく。
彼らはもう気づいているのだ。
らんの瞳には、この世界の誰一人として映っていないことに。
らんの視界を占めているのは、その後ろに控える、赤い毛先を揺らした俺という存在だけ。
(あぁ……愛おしい。本当に、俺だけのものになったんだね、らん)
胸の奥から湧き上がる圧倒的な優越感と歓喜に、俺は白手袋のなかで拳を強く握りしめた。
こいつらは、らんの両親が死んで床下に埋まっていることも、財産がすべて俺たちのものになったことも何も知らない。
らんが自ら望んで、俺の用意したおぞましい檻に閉じこもったことも。
無知で哀れな有象無象ども。
お前たちとらんが交わる境界線は、今日、この瞬間をもって完全に消滅する。
校門を出て、百瀬家の黒い高級車にらんを乗せる。
運転席に乗り込み、バックミラー越しにらんを見つめると、らんは車のドアが閉まった瞬間に、ほっとしたように前髪を揺らして笑顔を見せた。
「なっちゃん、やっと終わったね。俺、がんばって他のみんなを遠ざけたよ。偉かった?」
「うん、最高に偉いよ、らん。本当に可愛い」
車を滑らかに発進させる。
バックミラーの向こうで遠ざかっていく校舎は、俺たちにとってただの背景でしかなかった。
「これで、もう外の世界に行く必要は一切ないよ。明日からは、あの広いお家で、ずっと俺と二人きりだ」
「うん……嬉しいな。あ、ねぇなっちゃん、ドレスはもう届いたの?」
ゆ59
11,787
さなめ
108
#赫
天国 ♭
4,296
「もちろん。らんのために仕立てた、最高に綺麗な純白のウェディングドレスだよ。地下のお人形たちも、今日で綺麗に磨き終わるからね」
俺は仮面の裏で、甘く歪んだ微笑を浮かべた。
薬品できれいに肉を削ぎ落とし、真っ白に漂白された、あの二つの頭蓋骨。
明日はいよいよ、待ちに待った俺たちの結婚式だ。
らんには世界一綺麗なお嫁さんになってもらって、誰もいない聖域で、永遠の誓いを立てよう。
桃 視点 .
学校を卒業して、外の世界との繋がりが完全に消えた屋敷は、驚くほど優しくて温かいゆりかごのようだった。
もう進路のプリントに怯えることも、両親の冷たい命令を聴くこともない。
明日になれば、俺はなっちゃんの特別なお嫁さんになる。
結婚式の前日。
屋敷の一番大きな大ホールからは、なっちゃんの手によって、いつの間にか重厚な家具がすべて運び出されていた。
代わりにぽつんと置かれていたのは、中央に据えられた真っ白なクロスが掛けられた、一つの大きなテーブルと、二つの椅子だけ。
「らん、明日楽しみにしててね。世界で一番綺麗な姿にしてあげるから」
なっちゃんは金髪を揺らしながら、子供みたいに純粋で、眩しいほどの笑顔で俺の頭を撫でてくれた。
タメ口に戻ったなっちゃんの声には、弾むような幸福感が満ちあふれている。
「うん……なっちゃん。俺、ドレス着るの、ちょっと恥ずかしいけど……なっちゃんが喜んでくれるなら、すっごく嬉しい」
俺が恥ずかしさで顔を真っ赤にしながらなっちゃんのシャツの袖をきゅっと掴むと、なっちゃんは俺の身体を折れそうなほど強く抱きしめてきた。
なっちゃんの大きな胸の鼓動が、ドク、ドク、と高鳴っているのが伝わってきて、胸の奥がトロンと甘い熱で満たされていく。
「らんなら絶対に似合うよ。真っ白なドレスに、ピンクの前髪が映えて、きっと俺の目が潰れちゃうくらい綺麗だと思う」
「あははっ、目を潰さないでよ。明日は俺のこと、ちゃんといっぱい見ててくれないと嫌だよ?」
「見るよ。一生、らんだけを見つめ続けるよ」
なっちゃんは俺の耳元で、甘く、どこか狂おしいほどの熱を帯びた声で囁いた。
そのまま、なっちゃんは俺の唇に、何度も何度も確かめるように優しいキスを重ねてくる。
外の世界をすべて切り捨てて、なっちゃんだけの檻に閉じこもる。
それがこんなにも幸せで、呼吸がしやすいことだなんて、あの日泥の中からなっちゃんを拾った時の俺は思いもしなかった。
「あ、そうだ。らん、地下で磨いてた『お人形』も、さっき完璧に仕上がったんだ。明日の朝、このテーブルの真ん中に特等席を作って飾っておくね」
「うん、ありがとうなっちゃん。どんな可愛いお人形なのか、俺も楽しみだな」
なっちゃんが嬉しそうに言う「お人形」を、俺はやっぱり、俺たちの結婚を祝福してくれる可愛いウェルカムドールか何かだと、信じ込んでいた。
なっちゃんの言うお人形の正体が、俺たちの愛を引き裂こうとした両親や、二人の邪魔をした人たちの『本物の頭蓋骨』だなんて、これっぽっちも疑っていなかったのだ。
でも、もしその時の俺が真実に気づいていたとしても、きっと、ふんわりと微笑んでなっちゃんの頬にキスをしていただろう。
だって、今の俺にとっては、なっちゃんが俺のためにしてくれたことのすべてが、極上の愛の証明なのだから。
その夜、俺はなっちゃんの腕に抱かれながら、明日迎えるふたりだけの幸福な結婚式の夢を見て、甘い眠りへと落ちていった。
【い】
episode . 26 end__
までぃ かよ 。
今日 , 三者面談 なの だが 。
しんだ の ぜぃ 。
ま , まぁ .ᐣ.ᐣ
あたし めっちゃ い ~ 子 だし .ᐣ.ᐣ.ᐣ (((
てか 書き方 きめたど ~ っ .ᐟ.ᐟ
おぷちゃ の 時 に もどすわ 。
おぷちゃ が 単語 ごとで , 前 まで は 全文字間 に 半角 ニ文字 分 。
ばか だった よねぇ , 笑
ぁ , あと たぶん 今日 新作 だしますね 。
間に合えば 。
それでは また 次回 .ᐟ.ᐟ
ばいちゃ .ᐟ.ᐟ
コメント
5件
🌾しつにゃ あ~ごめん普通にすきにゃね。 桃彡っっっ もぉどろどろに墜ちまくってて好き(( くるちゃの書く共依存と狂愛がすきすぎるんだにゃぁぁぁぁぁぁ 次回結婚式かしら、 楽しみっ.ᐟ.ᐟ あ、あと視点切り替わるとこ桃彡じゃなくて赫彡になってるかもです、 こっちの間違いやったらすまんけどにゃ 三者面談俺もう終わったから( ・´ー・`)どや まぁ、まぁ、まぁ…… ど、どやれるし.ᐣ.ᐣ.ᐣ.ᐣ やっべながい
おはよ あぁ~、やだよぉ~今日部活だよ~はぁ、まじめんどい笑 く~ちゃも三者面談頑張れ\(*⌒0⌒)♪
ああ、第26話……読み終わりました。もう、胸がぎゅっとなる回でしたね。 卒業式の場面、らんがクラスメイトをやんわり遠ざけるところ、あの透明な壁の描写がすごく鮮やかで。そして赫の「俺だけのものになった」という優越感——歪んでるのに、その執着の純度の高さにぞっとしてしまいました。 「お人形」の正体に気づかないまま、無邪気に結婚式を楽しみにしてるらんの描写が、もう……切なくて美しくて。このふたりの世界の閉じた甘さと、その裏にある狂気のバランスが本当に絶妙です。