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「わたしが、生贄だと?」
ルーシーの怒りがさらに蓄積されていく。周りの空気が先程より徐々に重くなっいく。まずい。早くルーシーを止めなければ。
「貴様如きの分際で、私に何を言う。ふざけるのも大概にしろ。これ以上何も言わないならー」
「ルーシー、落ち着け。その手を使うな。正気に戻れこの阿呆!お前はバビルス教師だろうが!」
咄嗟に彼女を止める。俺の言葉に気がついたのか、ルーシーは落ち着きを取り戻した。危なかった。何はともあれ、まだその手は使ってはいけない。彼女は感情が昂ると、自分でなかなか抑えられない。原因は様々あるが、今はそれどころでは無い。
「…すんません。」
落ち着きを取り戻したようだ。しかし、此奴らの言った「生贄」とはなんのことなのだろうか。そもそも、彼女と一体なんの関係がーーー
「いずれ、この女にもわかる。迎えがくる。もう、遅い。」
「だからそれが何かって聞いてんだよ。ずっと曖昧に言いやがって…」
「とりあえず、こいつらは魔官署に引き渡す。ルーシー、お前は生徒を頼む。合宿はこのまま続行する。」
「…うす。」
その後、直ぐに魔官署の連中が到着し、あいつらは連行されていった。今後情報を吐かないようならば、即刻拷問されることが決まっているそうだ。その拷問で得られた情報は、こちらにも伝達される予定である。周辺の安全が確認され、正式に合宿を続行する許可が魔官署からも下りた。生徒たちには、変質者がいたとだけ伝え、詳しくは言わないということで話がまとまった。
奴らがなにを言っていたのか、俺にはあまり分からなかった。しかし、ルーシーは何か勘づいたらしい。あの後、生徒の前ではいつも通り接し、無事一日を終えることができていた。しかし不満、というのか、まだ不安が残っているらしい。当たり前だ。わけも分からない連中に突然、「お前は生贄だ」と、宣告されたのである。
とりあえず、今は生徒たちをそれぞれの宿舎に送ることを優先しなければならない。
…今後、何も無ければいいのだが。