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今日も話の長い担任の長い朝礼が始まった。
「今日はみんなに転校生を紹介するぞー」
え、転校生?
漫画とかでしか見ないような新鮮な空気に、俺は慣れることが出来なかった。
真ん中らへんの席にいる女子達は、
「女子かな、男子かな?!」
など会話していて、クラス全員がそわそわしていたような雰囲気だった。
どちらかと言うと俺はそのクラスの雰囲気に合うような反応ではなかったのだ。
少しびっくりしたが、特に楽しみではなかった。
ほら、静かにしろ
と担任が声を上げた。
すると一瞬にしてその場は静まる。
「入ってこい」、
の一言の途端に、教室のドアがゆっくりと開いた。
その姿は女の子。紺色の髪をした、少し長めのウルフカットをしてヘアピンを付けている華奢な少女だった。
「…あ、こんにちは…今日からこのA組でお世話になります、夢咲 風佳です。」
その子はすごく緊張している様子だった。
まるで、
いつものようにちゃんと会話ができない俺みたいに。
「趣味は小説を読むこと、それと、猫が好き、です。よろしくお願いします、」
みんなからの拍手が送られた。
俺も小説が好きだ、どこか、似てる気がする。
何処か似てるようなオーラを纏う彼女とは、話が合いそう…?
あ、俺ちゃんと話せないんだった…、
そして、その子の席は空席だった俺の隣になった。
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